からくさ不動産塾 塾頭
中山 善夫
不動産は人々が働くところ、住むところ、学ぶところ、遊ぶ・楽しむところ…などと、いつの時代にも"重要な基盤"としてわれわれの生活と活動を支えています。不動産の概念や使われ方は、時代と伴に変化しており、例えば、過去約15年では、不動産は金融との結びつきが強くなったため、「投資」の側面が強調されてきました。しかし、不動産本来が持つ「利用」の側面を見過ごしてはいけません。
時代の変化が加速する中、社会や企業、そして個人の不動産との付き合い方が、ますます重要となってきています。それは、社会や人々の豊かさ、企業業績などにも影響を与えるからです。これからの不動産を考えるにあたっては、グローバル化、人口減少、少子・高齢化、女性の社会進出、働き方の変化、ICTの進化、建物の老朽化などの社会経済の動きに敏感である必要があります。
皆さんは、幕末維新期に活躍する人々を多く輩出した「松下村塾」をご存知だと思います。情報の必要性を感じていた吉田松陰は、私塾のモットーを『飛耳長目(ひじちょうもく)』とし、見分を広め、物事を鋭敏に観察することの大切さを教えました。このことは、現代社会においても同じく重要であり、これからの時代に求められているのは、物事の動きに敏感で、かつ、先を見て考え、行動できる人材だと考えます。
不動産業界は、わが国の産業の中でも重要なものの一つと言えるでしょう。業界が引き続き発展し、不動産を通じて将来の社会を豊かにするためにも、次世代の業界と社会の発展に貢献できる人材の養成が不可欠です。
からくさ不動産塾は、不動産を通じて社会などに未来貢献を果たすという"志"を持った人たちが集い、互いに刺激し、学ぶ場として、また対話や議論を通じて、これからの不動産や社会について考える場として、ここに開校します。
当塾では、アドバイザーとして西村淸彦先生(東京大学大学院経済学研究科教授、元日本銀行副総裁)と清水千弘先生(シンガポール国立大学不動産研究センター教授)をお迎えし、各科目の講師の先生も選りすぐりの方々にお願いしてあります。講義内容は、知識面だけではなく、志や素養やスキルを高めるものを含め、また、後半には、各人の関心があるテーマについて発表し、議論する機会も設けています。
からくさ不動産塾は不動産教育を通じて、次世代のリーダーを養成し、不動産業界と社会の発展に貢献することを目的としています。"志"のある人に是非、集まってもらいたいと思います。