塾頭あいさつ

MESSAGE
不動産のみらいを考え、 行動し、 社会に貢献する

不動産は人々が働くところ、住むところ、学ぶところ、遊ぶ・楽しむところ…などと、いつの時代にも"重要な基盤"としてわれわれの生活と活動を支えています。不動産の概念や使われ方は、時代と伴に変化しており、例えば過去20年余りでは、不動産は金融との結びつきが強くなったため、「投資」の側面が強調されてきました。しかし、不動産本来が持つ「利用」の側面を見過ごしてはいけません。

時代の変化が加速する中、社会や企業、そして個人の不動産との付き合い方が、ますます重要となってきています。それは、社会や人々の豊かさ、企業業績などにも影響を与えるからです。これからの不動産を考えるにあたっては、コロナ禍での人々の行動や価値観の変化に加えて、人口減少、少子・高齢化、女性の社会進出、働き方の変化、ICTの進化、建物の老朽化などの幅広い社会経済の動きに敏感である必要があります。

皆さんは、幕末維新期に活躍する人々を多く輩出した「松下村塾」をご存知だと思います。情報の必要性を感じていた吉田松陰は、私塾のモットーを『飛耳長目(ひじちょうもく)』とし、見分を広め、物事を鋭敏に観察することの大切さを教えました。このことは、現代社会においても同じく重要であり、これからの時代に求められているのは、物事の動きに敏感で、かつ先を見て考え、行動できる人材だと考えます。

「からくさ不動産塾」は、不動産を通じて社会などに未来貢献を果たすという"志"を持った人たちが集い、互いに刺激し、学ぶ場として、また対話や議論を通じて、これからの不動産や社会について考える場として、2016年に開校しました。毎年数多くの塾生が集い、第7期までで卒塾生の数は125名になります。今般、当塾のさらなる発展を願い、また、塾生の大いなる活躍を祈願して、開校以来使ってきた「からくさ不動産塾」という名称を、「からくさ不動産みらい塾」に変更することといたしました。

また、塾のリニューアルに際して、カリキュラムの見直しも行っています。具体的には、①さらに未来志向でものを考えさせる、②不動産をより広いものとのかかわりで考えさせる、③卒塾生の講師への登用です。知識面だけではなく、志や素養やスキルを高めるものを含め、また、後半には、チームで関心があるテーマについて発表し、議論する機会も設けています。当塾では、清水千弘先生(一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授)をアドバイザーに、西村淸彦先生(東京大学名誉教授、元日本銀行副総裁)を名誉顧問にお迎えし、各科目の講師の先生も選りすぐりの方々にお願いしてあります。

不動産業界は、わが国の産業の中でも重要なものの一つと言えるでしょう。業界が引き続き発展し、不動産を通じて将来の社会を豊かにするためにも、次世代の業界と社会の発展に貢献できる人材の養成が不可欠です。

からくさ不動産みらい塾は不動産教育を通じて、次世代のリーダーを養成し、不動産業界と社会の発展に貢献することを目的としています。"志"のある人に是非、集まってもらいたいと思います。

ARES不動産証券化ジャーナル37号(2017年6月1日)
わが国の不動産教育に関する一考察 ~「からくさ不動産塾」のチャレンジ:次世代のリーダー育成 ~

ARESの機関誌、「不動産証券化ジャーナル」37号内にて、塾頭 中山による寄稿記事が掲載されました。
諸外国における不動産教育の実態について解説したうえで日本における不動産教育の実情、今後求められる不動産教育について解説するとともに、「からくさ不動産塾」設立の背景や目的について紹介しています。

ARES不動産証券化ジャーナル37号