活動報告(第七期)

※過去の活動報告はこちらからご覧いただけます。

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  •  第十一回9月6日
  •  第十二回第1部9月20日
  •  第十二回第2部9月20日
  •  第十三回10月4日
  •  第十四回10月18日

第十四回全体懇親会10月18日

今期の第十四回目の活動は、第1期から第7期までの全塾生に呼びかけた「からくさ不動産塾全体懇親会」が行われ、卒塾生、7期生の合計75名が参加しました。

最初に中山塾頭から、これからのからくさ不動産塾の方向性や塾生達に期待することなどの挨拶があり、乾杯してスタートしました。会の半ばには各期1名の代表者より、からくさ不動産塾を通して得たものや近況の報告が行われました。4年ぶりとなるリアル開催での懇親会は、7期生だけでなく、卒塾した各期の同期が旧交を温め、異なる期の塾生間で新たな交流が生まれるなど、大いに盛り上がりました。最後には、アドバイザーの清水先生の塾生達へのメッセージが送られ、その後、卒塾生の代表による挨拶と手締めによって閉会となりました。

  • 全体懇親会
  • 全体懇親会
  • 全体懇親会

第十三回10月4日

テーマ

“不平不満”を探り出し、ひっくり返して
“夢”を創り出す-自分を知り、他人(ひと)を知り、チームビルディングに活かす-

講師くらたまなぶ株式会社あそぶとまなぶ 代表取締役

第十三回目はくらたまなぶ先生による講義「自分を知り、他人(ひと)を知り、チームビルディングに活かす」が行われました。講義では最初に、性格を16タイプに分類するMBTI型性格診断について、その学問的背景やMBTI診断の日本への導入経緯、今日広く用いられているSPIとMBTIの違いについて説明が行われました。続いて、MBTI性格診断から分かるそれぞれのタイプの特徴や、くらたさん自身の経験を踏まえ、性格の特徴を知ることがチームワークやインタビューでいかに有効に活用できるかの説明が行われました。講義の最後は、「多様性を科学的に理解することはチームワーク上とても重要なので、ぜひお互いを知るために結果を周囲の人と共有しあって活用してほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

講義を受ける前から、不動産塾なのに、なぜ心理学のようなことを学ぶのだろうかと考えていましたが、講義の中で「仕事、人間関係、多様性を科学する」というフレーズを聞き、不動産を語る前に、一人の人間として、他者とどのように上手に関わり、お互いに補っていけるか、ということが大切だと気付かされました。今後のからくさ不動産塾の講義やゼミだけではなく、仕事の中でも活用できるように意識していきたいと思いました。(30代・金融業)

今回講義で中心的に紹介されたMBTI診断は知っていたものの、具体的に講義で多様な分類を確認することで、チームで働くうえで、多様な考えの人がいるという大前提を改めて再認識し、「多様性」という観点を自分ごととして捉え直す契機なったと思います。
またくらた先生のリクルート時代の実体験のエピソードを通し、具体的にMBTIをどうチームマネジメントや、日々の仕事に活かすのか、自分なりにリアルに考えることができ、早速実践していきたいと思っています。(30代・不動産)

  • “不平不満”を探り出し、ひっくり返して“夢”を創り出す
くらたまなぶ

1978年日本リクルートセンター(87年リクルートに改称)に入社。『とらばーゆ』『フロムエー』『エイビーロード』『じゃらん』など14のメディアを創刊、“創刊男”の異名をとる。新規事業開発室長として『ゼクシィ』『ダヴィンチ』『生活情報360(現「Hot Pepper」の前身)』等、の創刊に携わり、その後開発情報編集局・編集制作統括室長を経て1998年フレックス定年退社。あそぶとまなぶ事務所(04年に(株)あそぶとまなぶに改称)設立。経営コンサルタントを主に講演、執筆などを行う。
<主な著書>
リクルート「創刊男」の大ヒット発想術(日本経済新聞社)
MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術(日本経済新聞社)

第十二回-第2部9月20日

テーマ

企業における不動産戦略と不動産テックの動向

講師板谷 敏正株式会社プロパティデータバンク 代表取締役会長

第2部では板谷敏正先生による講義「企業における不動産戦略と不動産テックの動向」が行われました。最初にビルの多くが長期にわたって現存していくことや、政府や自治体、企業がそれぞれの持つ資産のうち、どの程度を有形固定資産が占めているかが紹介され、不動産資産価値の維持向上の重要性が示されました。続いて、近年不動産ビジネスの多様化が進んでいることを示し、それらのイノベーションが進むきっかけとなった要因や、不動産ビジネスのイノベーションをBIMといった技術が支えていることが説明されました。講義の最後は、「不動産は長期的に地域の残るものなので、特に大規模な開発では地域や環境との調和を見越して計画を考えてほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

建築物の残存曲線を見ることでわかる、日本の建物ストックの実際上の平均寿命の算出といった「データの分析・活用の視点」や、不動産市場自体の領域横断・縦断的な拡大を、日本全体・政府部門・民間部門のバランスシートも踏まえながらより「長期・俯瞰的に見る視点」は、市場に勝つための不動産投資戦略を立案していく上で非常に有用であり、今後の不動産投資・新規事業開発に活かせる要素が多くありました。(30代・不動産業)

不動産が資産として扱われる際に、各セクターで経営戦略上どのように変革してきたか、イノベーションの起点としてどう扱われているか、非常に示唆に富んだお話でした。都市や地方の再生の起爆剤として活用するという視点では、事例のなかでも大都市と地方都市では全く様相が異なり、また同じ地域内でも有効なものとそうでないものがあるので、目利きも重要と感じました。そして、イノベーションを起こすためにも、足りない人材、知識を補うために社会全体がDXに取り組む必要性も改めて実感しました。(30代・公務員)

  • 企業における不動産戦略と不動産テックの動向
板谷 敏正

早稲田大学大学院理工学研究科修了、清水建設株式会社入社。
2000年、社内ベンチャー制度を活用し、不動産管理向けクラウドサービスを展開するプロパティデータバンク株式会社設立、代表取締役就任。2022年4月より代表取締役会長に就任。09年には最も優れた経営戦略を実践する企業として“ポーター賞”を受賞。18年には東京証券取引上マザーズ市場に上場。その他国交省「企業不動産の合理的な所有・利用に関する研究会」委員、「不動産ID・EDI研究会(2007)」委員、日本ファシリティマネジメント協会理事などを務める。芝浦工業大学 客員教授(2010年~2021年)、早稲田大学大学院創造理工学研究科 客員教授を兼任。博士(工学)
<主な著書>
CRE戦略と企業経営(東洋経済新報社)、次世代建設産業戦略2015(日刊建設通信)

第十二回-第1部9月20日

テーマ

消費者行動の変化と小売業のありかた

講師藤原 真ザイマックス 執行役員 / 法人営業本部 商業不動産サポート事業部 担当執行役員

講師山田 賢一ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員

第十二回目は2部構成で、第1部では藤原真さん、山田賢一さんによる講義「消費者行動の変化と小売業のあり方」が行われました。講義では最初に、これまで小売業界の業態や立地がどのように変化してきたかの解説や、商業施設内部の使われ方の変化や商業施設跡地の活用事例が紹介されました。次に、塾生が3つのチームに分かれ、都心型百貨店、地域密着型食品スーパー、郊外大型ショッピングセンターという業態の未来についての議論とその発表が行われました。最後は、「最初に社会の変化、消費者行動の変化があり、それに伴って小売業の変化が起きるので、未来の小売業を考えるために、現在社会で起こっていることに注意を払ってほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

日常業務で商業系テナント企業を中心に担当している為、いつも顧客と会話している内容や知識を頭に思い浮かべながら講義に臨みましたが、講義内で消費者行動のトレンドや小売業界の歴史等をご説明して頂き、背景を理解してこそ本当の理解に繋がると再認識することができました。また、グループディスカッション中心で他業種の方と意見交換することにより、商業アセットの未来について深く考える貴重な時間となりました。
今後の業務に活かしていきたいと思います。(30代・金融業)

毎回が濃厚な当塾の講義ですが、今回もまた新鮮な魅力を感じる回となりました。初めてのグループワークとなる今回、私にとってその「問い」が非常に示唆深かったです。商業施設を取り巻く時代の変化を講師が手際良く解説した後(必ずしも一筋縄でない条件下)「さて、デベロッパーとして、あなたならこの土地をどう活用しますか?」とにわかに問いかけられ、その骨太な問いに一瞬ハッとさせられました。当たり前に聞こえるようで奥は深いこの問いは、時代を読み解き、時代を創る側になることを志す当塾ならではの基本姿勢だと改めて確認する機会となりました。(30代・不動産業)

  • 消費者行動の変化と小売業のありかた
藤原 真

1998年株式会社パルコ入社。店舗運営、施設企画・リーシング等に従事。2006年ザイマックス入社後、大型商業施設開発・リニューアル等を数多く牽引、現在は小売企業を対象とした不動産サービス法人営業部門を担当。京都大学文学部卒業。

山田 賢一

1991年大手流通企業に入社。10年以上にわたり、新規出店・改装のプランニング業務に携わる。2007年にザイマックスグループ入社。主に商業施設の運営管理業務を行う。2014年よりザイマックス総研にて商業施設・小売業界の調査研究を担当。上智大学文学部卒業。

第十一回9月6日

テーマ

「場所の意味をほりあてて、
形を考える」

講師川添 善行建築家 東京大学生産技術研究所准教授

第十一回目は川添善行先生による講義「場所の意味をほりあてて、形を考える」が行われました。講義では最初に、場所性から切り離された都市の中の建築ではなく、場所と調和した都市のための建築を計画する必要があるという考えが示されました。続いて、沖縄県竹富島の伝統的家屋群や大分県竹田市の伝統的な農業景観など、その場所の環境に合わせて生活するために建造物の形態が定められ、それが積み重なることで地域固有の景観が形作られてきた例や、川添先生が取り組んでこられた建築プロジェクトの紹介がされました。最後はエリアの個性を形成していくために、集積はどの程度必要となるかなど、不動産実務に関わる塾生達との活発な質疑応答で締めくくられました。

【塾生の声】

仕事柄、不動産開発において制約のある敷地・条件の中でいかにマネタイズを最大化させるかを日々考えてきましたが、今回の講義はある種対極にあると思われる、敷地をいかに気持ちよく使うかという定性的な観点からの様々なお話を聞くことができました。通常の視座とは別の角度で不動産というものを再考する中で、人間にとって大切な心地良さや、不動産を利用することで広がる広域な縁という要素を見落としていたかもしれないということに気づきました。(30代・不動産ファンド)

自然災害対策や産業変化への対応のために人類が生み出してきた今の都会の風景が、数十年後には「風情」になっているのではないかと思うこともあります。特に我々が扱う一定規模以上の建物は一義的には「その土地らしさ」を損なうものと見られがちですが、何もしなければそのエリアは経年劣化するのみ…というジレンマを抱えることも多く、改めてその土地の歴史や生活を紐解いた空間提案をすることの大切さを感じました。(20代・不動産企画開発)

  • 「場所の意味をほりあてて、形を考える」
川添 善行

空間構想一級建築士事務所。1979年神奈川県生まれ。東京大学卒業、オランダ留学後、博士号取得。「東京大学総合図書館別館」、「望洋楼」、「四国村ミウゼアム」などの建築作品や、「空間にこめられた意思をたどる」(幻冬舎)、「このまちに生きる」(彰国社)などの著作がある。
BCS賞、BELCA賞、ロヘリオ・サルモナ・南米建築賞名誉賞、東京建築賞最優秀賞、日本建築学会作品選集新人賞、グッドデザイン未来づくりデザイン賞、など国内外の受賞多数。

第十回8月23日

テーマ

東京等大都市の集積と国際競争力

講師内田 要土地総合研究所理事長

第十回目は内田要先生による講義「東京等大都市の集積と国際競争力」が行われました。
講義の最初は、不動産・街にはイノベーションのプラットフォームとしての役割があるという視点や、イノベーション創出に向け、エリアの「集積」や「距離」の重要性についての説明がありました。続いて、東京圏におけるスタートアップエコシステムや、スタートアップ数が増加しすぎることによる飽和現象、コワーキング施設における人々を交流させる場の力の検証事例などが紹介されました。最後は都市でのイノベーション集積の考えについて塾生へ問いかけが行われ、スポーツにおける集積の効果の例や、国による文化の違いとスタートアップの関係など、それぞれの知見に基づく様々な意見が飛び交いました。

【塾生の声】

街という集積機能を使い、いかにイノベーションを生む環境を提供できるのかという課題に対して、最新の研究及び各受講生の業務経験に基づく提案内容を聞くことができ、ソフト・ハード面での街作りの大切さを改めて認識する機会となりました。イノベーション創出に特に重要な要素は人と人との距離(接続性)であり、その接続性の効果を最大化するためにも一部セクターだけの集積では効果が薄く、多様性があり意味のある集積をデベロッパーの観点から今後も社会に提供していきたいとの思いを強くしました。(30代・不動産業)

「場」を創出・提供する役割のデベロッパーとしては非常に関わりがいを感じるテーマだった。当日の意見交換の中でも出ていたが、海外での成功事例を踏まえながら、日本におけるスタートアップの起こり方から日本式のイノベーティブな環境作りの要件を整理していく必要はあるように思う。イノベーティブな環境を整えることがデベロッパーにとっても街の魅力づくりという点で利益が生まれ得ることを理解し、行政・大学等も巻き込んだ大きな動きに昇華させていくことが求められていると感じた。(30代・不動産業)

  • 東京等大都市の集積と国際競争力
内田 要

東京大学法学部卒業。建設省入省、国土交通省総合政策局政策課長、大臣官房審議官(不動産担当)、土地・水資源局長、土地建設産業局長を経て、2012年独立行政法人都市再生機構副理事長、2014年より、内閣官房地域活性化統合事務局長、内閣府地方創生室長として、地方創生、国家戦略特区の事務方とりまとめ。2015年11月より不動産協会副理事長・専務理事、2023年7月より現職。麗澤大学客員教授。

第九回8月2日

テーマ

資産運用の対象としての不動産

講師矢口 一成株式会社ゆうちょ銀行 市場部門 常務執行役員不動産投資部長

第九回目は矢口一成先生による講義「資産運用の対象としての不動産」が行われました。
講義の最初は、ゆうちょ銀行で不動産投資の検討が必要となった背景や、それを一から作り上げた中でどのような課題があったかの説明がありました。続いて、組織にとって未経験の不動産投資を行うにあたり、「不動産への投資をすべきか」、「どのような要素を考慮してポートフォリオを構築するか」、「どう組織の中で合意形成をして実行していくか」などの論点について、塾生達に自分がその立場ならどう考えますか?と問いかけながら、自身が実際にどう考え行動したかが説明されました。最後は、事をなすために重要な心掛けや、持っている知識に満足せず、継続して勉強する重要性といった塾生達へのメッセージで締めくくられました。

【塾生の声】

不動産投資を単なる金融的な角度のみで捉えるのではなく、組織においてどのように存在意義を見出すか、そしてそれをどのように組織全体に波及させて承認を得るのか、さらにその不動産投資部門を率いるためにどのような哲学をもってチームビルディングするのかという側面から捉えられたのが興味深かった。自らの体験を基づく内容であったので、教科書的な知見と実務上のダイナミックさをリンクさせることができた。(30代・不動産業)

桁違いの資金量を有する機関投資家として、不動産投資に一から参入する際の意思決定・合意形成・チーム育成の実体験を後追いできる稀有な講義でした。資産運用を展開する上でなぜ不動産に投資すべきかを真に問い、目指すべきポートフォリオの姿を見据えながらもあえて段階的に始めることで、中長期的な関係を構築するお考えなど勉強させて頂きました。マーケットプレゼンスを業界内で作り上げていった過程やマーケットトレンドを追いかける熱量に感動しました。(20代・証券業)

  • 資産運用の対象としての不動産
矢口 一成

2016年にゆうちょ銀行に入行、同行の不動産投資を立ち上げ、チームを育成し、約5年間で2兆円を超える不動産ポートフォリオを構築。エクイティ-デット、私募-公募/上場の4象限に加え、地域、物件タイプ、戦略等を軸として計画したグローバル分散投資を実行している。同行入行以前は、株式会社日本政策投資銀行にて都市開発、アセットファイナンス等不動産関連ビジネスに従事。都合20年以上の不動産投融資経験を有する。
ロンドンビジネススクール金融学修士、CFA、CAIA、ARES不動産証券化マスター。

第八回-第2部7月19日

テーマ

ファシリティデザインの視点から
-ESGが求めるファシリティの姿-

講師似内 志朗ファシリティデザインラボ代表

第八回目第2部では似内志朗先生による講義「ファシリティデザインの視点から-ESGが求めるファシリティの姿-」が行われました。講義では、最初にユーザー企業にとってファシリティマネジメントにはどのような視点が必要かという話から始まり、工業社会から知識社会への変化やコロナ禍を経たワークプレイスに対する考え方の変化が紹介されました。続いて、ESG、SDGsといった価値が企業経営において重視される中、そうした非財務的価値をいかに財務価値へと繋げていくかという課題や、ファシリティを通してそれを実現した建築、企業の事例が紹介されました。講義の最後には、ウェルビーイングは合理的な投資先であるという視点や、健康経営への関心の高まりに伴って建築物のWELL認証の標準化が進んでいる状況が示されました。

【塾生の声】

環境負荷を削減し、かつ働く人のウェルビーイングを追求したオフィスをつくることで、採用競争力向上・欠勤者低下に繋げた事例から、人の知恵が富を生む時代には、ESGを意識したファシリティ投資は地球・社会に貢献し長期的な経済価値へとつながる為、投資対効果が高いことを納得感をもって理解することができました。また、「働く」を深く考える組織とそうでない組織に二極化し、両者に大きな差が出るというお話は大変興味深く、改めて「働く」を考えるきっかけとなりました。(30代・小売)

コロナ禍で働く環境が変わり、ファシリティマネジメントの重要性が見直されていることを感覚的に感じていましたが、今回の講義を経てロジカルに理解することができました。働き方や企業・個人の成果が多様化する中、FMを経営課題として捉える事例が増加しているという解説は特に共感するポイントでした。また、多くの企業が取り組むESG対策をチャンスと捉え、ポジティブに取り組み優位性を得ている事例を知ることができ、とても勉強になりました。(30代・不動産金融)

  • ファシリティデザインの視点から-ESGが求めるファシリティの姿-
似内 志朗

北海道生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業、ロンドン大学(UCL)バートレット建築校修了。郵政省・日本郵政グループで建築設計・ファシリティマネジメント・事業開発・不動産開発企画と担当。日本郵政(株)事業開発部長、不動産企画部長等を歴任。2019日本郵政(株)退職後、ファシリティデザインラボ代表、(株)イトーキ社外取締役、(株)ヴォンエルフ シニアアドバイザー、JFMA理事・フェロー・調査研究委員会委員長、筑波大学客員教授、東洋大学非常勤講師等。

第八回-第1部7月19日

テーマ

Topics from New York

講師山本 みゆきサンポップインターナショナルマネージング・ディレクター

第八回目は2名の講師による2部構成で、第1部では山本みゆき先生より、「Topics from New York」と題し、最近のニューヨークの不動産市場の3つのトピックとして、カジノライセンス獲得競争、リテール動向、働き方の変化とオフィスマーケットへのインパクトについての講義が行われました。カジノライセンス獲得競争では候補となる各企業の計画が計画エリアの特徴とともに紹介され、リテール動向では各セクターがコロナ禍の影響を受けつつも足元では回復へと推移している状況が示されました。最後のトピックである働き方の変化とオフィスマーケットでは、ハイブリッドワークの定着によりオフィス需要の低下、空室率の増加が継続していることが示され、講義後には日米の不動産マーケットの違いについて、活発な質疑応答が行われました。

【塾生の声】

ニューヨークにおけるコロナ後の商業施設のテナント動向、埋戻しの状況をタイムリーな情報で伺うことができ、また加えてニューヨーク市が主導するカジノ誘致の状況など、ポジティブな市況感であることが理解できました。一方、オフィスにおいては米国不動産オーナー独自の空室率の考え方など、日本との違いやリアルな情報もご提供いただき、レポートで見る数字の背景も含めて理解を深めることができました。(30代・不動産)

日本とアメリカの不動産に関する考え方の違いを垣間見ることができ、興味深かった。
特にニューヨークのカジノ誘致のトピックは、同じくカジノを誘致しようとしている日本にとって、世界レベルでみると競合ともなり得るものであり、類似点と相違点をより深掘りして考えてみたいと感じた。(20代・不動産開発)

  • Topics from New York
山本 みゆき

不動産コンサルタント。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。CCIM(米国商業不動産投資アドバイザー)、NY州公認ブローカー、NY州公証人。NHK海外取材の翻訳にも携わる。東京では日鉄興和不動産(株)海外事業部に勤務。
<主な著書>
米国の不動産知識 A to Z(住宅新報社)、各種不動産業界誌に米国不動産事情連載

第七回7月5日

テーマ

「先を読むためのアナロジー思考」

講師細谷 功ビジネスコンサルタント・著述家

第七回目は細谷功先生による講義「先を読むためのアナロジー思考」が行われました。
講義では、最初に変化が激しい時代の中で先を読むことの重要性と、そのための方法として具体と抽象を行き来して考えるアナロジー思考について解説が行われました。
続いて、アナロジー思考に触れるため、複数の商品を抽象化して比較することで商品間にある類似性を見つけるワークや、様々な類似点を指摘できる中、どのような類似性がよりクリティカルなものかという着眼点の解説が行われました。最後は、不動産業界は何にどのように似ているか?という問いかけを行い、「自身の仕事と他のものとの間にどのような類似点があるか、日常生活の中も含めて広く考えてみてほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

アナロジー思考により、過去のデータを分析するだけではなく、目の前の事象の抽象化・具体化により共通点を見出し、新規ビジネス創出や課題解決に繋げることができると学びました。また、日常生活も含め、自分が携わる業界以外の事象もアナロジー思考の題材になりうる為、不動産業界に携わる様々なキャリアを持つメンバーが集まるからくさ塾は絶好の学びの機会であり、これからも塾生同士で積極的にディスカッションしたい、と改めて思いました。(30代・金融業)

今回の講義におけるテーマの「抽象化により構造と流れを捉える」アナロジー思考については、これまで直感的には理解しつつも、いかに再現可能なものにするかが私の中でも課題だったように思います。本講義においてアナロジー思考の「型」を学ぶことを通じて、普段は業界内知識のみで具体と抽象を行き来していたところ、このスコープを更に広げ世の中を広く観ながらアナロジー思考を展開することで、更なる新規事業立案・開発につなげていくことができることが良く分かり、より視界が明るくなったように思います。(30代・不動産業)

  • 「先を読むためのアナロジー思考」
細谷 功

神奈川県生まれ。株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の外資系/日系のグローバル・コンサルティングファームにて業務改革等のコンサルティングに従事した後独立。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。著書に『アナロジー思考』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)などがある。

第六回6月21日

テーマ

都市計画と不動産

講師宇於﨑 勝也日本大学理工学部建築学科教授

第六回目は宇於﨑勝也先生による講義「都市計画と不動産」が行われました。
講義では、最初に日本における都市計画法体系の紹介や都市計画に関する代表的な法律である都市計画法に基づく都市計画手続きについての説明がなされました。続いて、区画整理事業や市街地再開発事業など、都市計画諸制度を活用した市街地更新の方法とそれらのメリット・デメリットや、「田園都市論」や「近隣住区理論」など、近代の代表的な都市提案の例の解説が行われました。その後、不動産と関わる都市計画上の課題について解説がなされ、最後は「都市計画の制度は様々なものがあるので、ぜひ興味を持って勉強し、活用していってほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

これまでの私にとって、都市計画法の世界はどうしても無味乾燥な法律論にしか見えませんでした。しかし、今日の講義を通じて、その世界にがぜん魂が入ったように感じました。講義では、体系的概説から歴史的背景・狙い、さらには世界史的視野での展開までもがテンポ良く語られ、深い意味が分かってくるにつれてジワジワと興味を喚起されました。また、塾生の中には、規制の中で知恵を絞っている民間側だけでなく、実際に都市計画法を運用している官側の方もおり、懇親会での塾生同士の議論も大いに盛り上がりました。こうした本質的な学びや率直な意見交換は塾があってこそで、当塾の取組の志の高さに改めて感謝しました。(30代・不動産業)

個々の不動産が集合すると都市になる。その都市において、あらゆる開発を影響を与えてきたのが都市計画制度ですが、戦前から高度経済成長を経て人口減少・少子高齢化時代を迎え、そのあり方が問われていることを再認識しました。一方で過去の偉人たちの提言には先見の明があり、都市を語ることのスケールの大きさを感じました。不動産が都市空間を構成する一要素であることを意識することで、新たな魅力の創出や今日的な社会課題の解決に活かすためのポテンシャルを見出だすことができる、という思いが強くなりました。(30代・公務員)

  • 都市計画と不動産
宇於﨑 勝也

日本大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。
日本大学理工学部助手、専任講師、助教授、准教授を経て、現在、日本大学理工学部教授。平成6年5月から1年間「平成6年度日本大学長期海外派遣研究員」として英国及び欧州諸国に長期出張。
現在、地方自治体の都市計画審議会委員、建築審査会委員などを務める。<主な著書>小嶋勝衛・横内憲久 監修「都市の計画と設計 第3版」(平成29年3月・共立出版)、一般社団法人 日本建築学会 編「景観計画の実践 事例から見た効果的な運用のポイント」(平成29年3月)」

第五回6月7日

テーマ

不動産市場における10年の構造変化
~変化をいかにビジネスチャンスにするか~

講師榎本 英二野村不動産ソリューションズ代表取締役兼副社長執行役員

第五回目は榎本英二先生による講義「不動産市場における10年の構造変化~変化をいかにビジネスチャンスにするか~」が行われました。講義では、不動産プロジェクトは長期的なものとなるため、取り組むにあたっては将来の構造変化を見据えた仮説を持つ必要であるという話から始まり、続いて不動産業界の次の10年の構造変化を考える上で重要となる9つのテーマの紹介が行われました。テーマとしては「格差是正などの金融市場の動き」、「人生100年時代での住宅ニーズの変化」、「社会の変化に伴う新立地論」などが紹介され、講義の最後は「近年続いてきたグローバリゼーションや物価の停滞といった前提がこれからは変わっていく可能性を念頭におきながら今後の仮説を考えていってほしい」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

社会情勢を捉えたビジネスチャンスをいかに発見していくかについて、過去・現在・未来の不動産市場の観点からお話を頂きました。コロナ禍後の生活変容、米中をはじめとする地政学リスクの顕在化、AI技術の加速度的進展、グリーン投資の需要増大、特に日本においては団塊世代から次世代への政策課題の展開、といった社会的背景の大きな変化に対して常に仮説志向を持ち、事業機会を生み出していく先見性の重要さに改めて気付かされました。(30代・不動産業)

講義タイトルにある「変化をいかにビジネスチャンスにするか」について、今までにない視点や深さで考えるきっかけを頂けた講義でした。特に、「不動産バブルの崩壊など不動産市場に大きな影響を及ぼすものは金融マーケット発である」という内容は、自身が金融業界に所属する人間だからこそ最も印象的な言葉として残っています。変化の激しい今の時代・不動産業界でチャンスを掴むべく、本日の講義内容を活かして今後精進していきたいと思います。(30代・金融業)

  • 不動産市場における10年の構造変化
榎本 英二

1985年慶應義塾大学経済学部卒業。1985年野村不動産入社、経理・総合企画・商品開発・資産運用事業に携わる。2008年執行役員 資産運用カンパニー副カンパニー長兼運用企画部長、2009年野村不動産投資顧問副社長、2013年野村不動産常務執行役員法人営業本部副本部長、2015年野村不動産アーバンネット専務執行役員を経て2017年同代表取締役兼副社長執行役員就任、現在に至る。
1990年大手米国年金基金との米国不動産投資を開始し、1997年からは日本の不動産投資に着手、2001年不動産私募ファンド運用のため、野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社設立。2002年には日本の運用会社による初めてのオポチュニティファンドである日本不動産オポチュニティ・ファンド(JOFI)の組成・運用を手がける。2004年以降、同社の安定型不動産私募ファンド(Smileシリーズ)の組成に携わり、2005年野村不動産投資顧問株式会社を設立、不動産証券化商品への投資に着手。2010年私募REIT第一号を運用開始。2013年野村不動産にてCREを中心とした法人営業を担当。2015年野村不動産アーバンネットにて仲介・CRE部門の企画を担当。(2021年4月1日より「野村不動産ソリューションズ」に社名変更)
宅地建物取引主任者、日本不動産鑑定協会会員、日本証券アナリスト協会検定会員

第四回-第2部5月24日

テーマ

データ利活用型まちづくり

講師川除 隆広日建設計総合研究所 執行役員 麗澤大学 客員教授

第四回目第2部では川除隆広先生による講義「データ活用型まちづくり-街をバリューアップするビッグデータの利活用-」が行われました。講義では、最初にビッグデータ利活用に関連する国家戦略、政策方向性や、地理ビッグデータによる都市の状況の可視化についての説明がありました。続いて、建築・都市DXに関する最新の動向として3D都市モデルや都市計画GIS・登記所備付地図のオープンデータ化、不動産ID化の推進を紹介し、それらの一体的な推進による都市サービス向上の方向性や利活用事例が示されました。講義の最後は「データ利活用型都市マネジメントがスタンダードになっていく中、人間にとっての価値を高め、持続可能な都市をつくるためにそれらを利活用することが最も重要である」という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

データの活用事例や世界中のスマートシティ事例を沢山ご紹介頂き、非常に面白かったです。デベロッパー目線では、一建物の企画開発の文脈に恣意的にデータを切り貼りすることが最早簡単にできてしまう時代だからこそ、国土や都市単位での街の在り方に関する戦略立て、エリマネ組織の信用力向上のための仕組みづくり、各街の独自性の抽出(効率性だけを追い求めて画一的な都市にならないように)辺りが非常に重要なのではないかと感じました。また一方、データから導き出される街の在り方に対し、民間事業者としての付加価値をつけていくことで、データ予測の範囲外の人の流れやローカルな機運を盛り上げていくことが出来れば理想的ですね。(20代・不動産企画開発)

データ同士の組み合わせによって新たな価値を創出することで、従来の建物内に留まっていた計画を、都市空間全体に波及させ、街全体でのサービス向上と公的資金の最適化が行えると感じた講義でした。保有不動産や主力開発地域の魅力をマーケティングする際に、不動産・地域の有する強い個別性の観点から数少ない統計データを多用していましたが、国交省のPLATEAUにみられるようなオープンデータの活用により、今後はより適した情報提供ができるのではと更なる可能性の拡大を感じました。(20代・証券業)

  • データ利活用型まちづくり
川除 隆広

1995年東京理科大学大学院修士課程修了。2001年京都大学大学院博士課程修了。博士(工学)。技術士(総合技術監理部門・建設部門)。専門は、都市計画、都市情報分析、事業評価、官民連携事業など。総務省ICT街づくり推進会議スマートシティ検討WG構成員、総務省データ利活用型スマートシティ推進事業外部評価委員、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」のうち「アーキテクチャ構築等」採択審査委員、国土交通省/データ駆動型社会に対応したまちづくりに関する勉強会委員、CASBEE都市検討小委員会委員、CASBEE街区検討小委員会幹事などを務める。著書に「ICTエリアマネジメントが都市を創る」、共著に「スマートシティはどうつくる?」、「駅まち一体開発 TOD46の魅力」、「不動産テック」などがある。

第四回-第1部5月24日

テーマ

技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト

講師河瀬 誠立命館大学(MBA)客員教授 / MK&Associates 代表

第四回目は二名の講師による2部構成で、第1部では河瀬誠先生による講義「技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト」が行われました。

講義では、最初にデジタル領域の進化の速さやデジタル技術による既存業務の転換についての説明がありました。その後、DXはデジタル化ではなく「産業革命」であると位置づけ、デジタルによる社会の変化として3Dプリンターや自動運転といった近年発展した技術による製造業や市民生活、都市生活の変化の例が紹介されました。最後は事例を交えつつ、デジタル技術を生かして都市の姿が大きく変わっていくことを示し、「技術の進化によって社会や都市の姿が変化する中、“文化創造”ができる都市こそ変わらない価値を持つ。そうした都市を創っていってほしい」というメッセージで締めくくられました。

【塾生の声】

通常の業務であまり接することのできない、一流の経営コンサルタントの方、特に情報技術分野の第一人者の方の知見に触れることができ、とてもいい刺激になりました。不動産業界自体は少しずつデジタル化の波が進んできているものの、ローテクな業界であり、不動産テックが進んでいるアメリカと比較すると、情報開示も進んでおらず閉鎖的な業界であり、課題感も持っています。進みゆくデジタル化の波に上手く適用することで、新たな業界像を作り上げるきっかけになり、個人的にも深堀りして思考する契機となりました。(30代・不動産ファンド)

住宅事業自体は成熟した部分が多いが、近年は生活スタイルの多様化、価値観の多様化への対応が求められている。一方で工事金額も高止まり状態で環境への投資も必要になっており、「個別性(自己実現)」と「経済性」の両立もデベロッパー側が満たさないといけない大きな課題と感じている。ゼネコンも含めた業界全体として取り組まないといけないテーマだということを再認識した。(30代・不動産業)

  • 技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト
河瀬 誠

東京大学工学部計数工学科卒業。ボストン大学経営大学院理学修士および経営学修士(MBA)修了。A.T.カーニーにて金融・通信業界のコンサルティングを担当後、ソフトバンク・グループにて新規事業開発を担当。コンサルティング会社ICMGを経て、現職。著書に『経営戦略ワークブック』『戦略思考コンプリートブック』『新事業開発スタートブック』『海外戦略ワークブック』(以上、日本実業出版社)『戦略思考のすすめ』(講談社現代新書)『マンガでやさしくわかる問題解決』『課題解決のレシピ』(日本能率協会)などがある。

第三回5月10日

テーマ

ストック型社会における建物を考える

講師吉田 淳ザイマックス不動産総合研究所 主幹研究員

第三回目は、ザイマックス不動産総合研究所の吉田淳さんによる講義「ストック型社会における建物を考える」が行われました。講義では建物の定義とは、という話から始まり、オフィスピラミッドなどを参照しながら現在の東京のオフィス市場の建物ストックの高齢化や建設時期によるビルスペックの違いについての解説がなされました。そして、築古ビルが増加する中、省エネ・耐震性能などの新基準に適合する改修や、利用方法のコンバージョンによって既存ストックを再生・活用できることを実例を交えて示しました。続いて、GRESBやCASBEEといった様々な環境認証が不動産の価値向上につながるという視点を既往研究も踏まえつつ提供し、最後は将来のストック型社会に向け、既存のビルも含めた良質な社会ストックを形成していくためのヒントを示して、「これからは皆さんが考えて実行していってください」と塾生達に期待を込めた言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

環境負荷・投資効率等の点から、長期的に使用できるような建物が好ましいものと思われます。ただ使用期間が長期になるほど、急速に変化する世の中においては、どの場所でどのようなニーズが生じるのか、どのような建物スペックが求められるのかについても、将来の見通しが不透明になりうることに留意する必要があると思いました。(30代・不動産業)

時代や環境の変化により不動産へのニーズに変化が生じている中で、既設の不動産の有効活用方法を検討すること、アップデートすることの重要性を改めて認識しました。特に、不動産分野でも環境配慮が広まる中で、オーナー・ユーザーの両方が環境を配慮した選択ができるよう、制度の整備や意識の変革が重要であると感じました。(30代・不動産金融)

  • ストック型社会における建物を考える
吉田 淳

日本リクルートセンター(現・リクルートホールディングス)入社。ビル事業部西日本部長などを経て、リクルートビルマネジメント(現・ザイマックス)取締役、2001年ザイマックスビルディングサイエンス(現・ザイマックス不動産総合研究所)を設立し、建物管理、修繕、エネルギー・環境不動産分野の研究を主幹している。CASBEE- 不動産評価検討小委員会委員、CASBEE-ウェルネスオフィスマニュアル改訂委員会委員、ARES 資格教育小委員会分科会委員などを務める。

第二回4月19日

テーマ

不動産市場の未来
-科学の力で未来をデザインする-

講師清水 千弘一橋大学教授・麗澤大学学長補佐

第二回目は、当塾のアドバイザーでもある清水先生による講義「不動産市場の未来-科学の力で未来をデザインする-」が行われました。
講義では20世紀の不動産価格査定や不動産証券化市場の作成といった不動産イノベーションの歴史から始まり、ビッグデータを用いた将来の国内都市の減少や地価が1/3に低下するといった予測など、統計データを用いて不動産を見る視点についてのお話がまず行われました。続いて、不動産設計・収益計算の自動化など、技術革新による建築不動産業界の課題解決の可能性や、ビッグデータ・AI技術を用いた可視化や最適化の事例紹介を踏まえ、そうした技術発展を活用した事業DXを進めるために何を理解し意思決定を行っていく必要があるかというお話がありました。講義の最後は、未来は予測できない、自分たちで創っていってほしい、という言葉で締めくくられました。

【塾生の声】

AIの活用を考えるときに、「AIによりコストが低下することで、今まではビジネスにできなかったことがビジネスとして成立する」という観点は、様々な分野でAI活用において共通する重要な要素であると感じました。また企業経営においては、AIと人の分業を考えるうえで、経営者の倫理観・判断が改めて重要であることを学びました。(30代・不動産)

AIの自動化技術の進化に感嘆する一方、人とAIの分業においては、AI活用のメリットとデメリットを理解した上で、長期的なビジョンを持ち、それぞれの役割を決めることが肝要であると気づきを得ました。将来においては、AIによる予測可能な部分とそうでない部分があるため、不確実な未来に対応する柔軟性と自らがどんな未来を創っていくかという未来志向の創造的な仕事が重要なのだと感じました。(30代・小売)

  • 不動産市場の未来
清水 千弘

一橋大学ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター教授、麗澤大学国際総合研究機構副機構長学長補佐、日本大学スポーツ科学部非常勤講師。マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員等を兼務する。東京大学博士(環境学)。シンガポール国立大学不動産研究センター、麗澤大学経済学部元・教授。専門は、指数理論・ビッグデータ解析・不動産経済学。主な著者に、『市場分析のための統計学入門』朝倉書店(2016)、『不動産市場の計量経済分析』朝倉書店(唐渡広志との共著(2007))、『不動産市場分析』住宅新報社(2014)など多数。Fellow of RICS、Member of CRE。

第一回4月5日

テーマ

開講式・不動産の見方、考え方

講師中山 善夫ザイマックス不動産総合研究所 代表取締役社長

からくさ不動産塾第七期がスタートしました。今期は第四期以来のリアルでの開催となり、様々な業種から15名の塾生が参加することになりました。最初に開校式が行われ、中山塾頭からからくさ不動産塾を設立しようとした背景・経緯や今までの塾生達の様子、これからの1年間に向けた塾生たちへの期待を述べる挨拶や塾生たちによる自己紹介が行われました。その後、中山塾頭による第1回目の講義「不動産の見方・考え方」が行われました。講義の中では不動産とは何か?土地とは何か?という話から始まり、不動産を考える上での様々な視点や不動産価格と社会情勢の関係、社会と不動産の”これから”などが解説され、世の中の変化に敏感になってほしいというメッセージが送られました。講義の後には活発な質疑応答があり、初回から塾生の不動産に対する高いモチベーションが見られました。これからの1年間、活発な議論が繰り広げられることが大いに期待される中、第1回目講義が終了しました。

【塾生の声】

楽しみにしていたからくさ不動産塾第七期がスタートしました。講義の中では、中山塾頭が「世の中の変化は加速している」、「不確実性が高まっている」と仰っていたことが特に印象に残っています。そのような状況で、今までの延長線で考えるのではなく、新しい視点で考える為にも、講師や塾生の皆さんとの積極的な情報交換やコミュニケーションが大切であると感じました。これから1年間、皆さんと学んでいけることを楽しみにしています。(30代・金融業)

これからのことは、過去の出来事や経験の延長で考えることはできないという言葉を受け、日頃からアンテナを張り、一つの出来事が将来にどのような影響をもたらすのかを常に考える癖をつけていかなければいけないと改めて感じました。個性豊かなメンバーの皆さんと刺激し合いながら、一年間学びを深めていければと思います。(20代・不動産開発)

  • 開講式・不動産の見方、考え方
  • 開講式・不動産の見方、考え方
中山 善夫

株式会社ザイマックス不動産総合研究所代表取締役社長。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。一般財団法人日本不動産研究所で数多くの不動産鑑定・コンサルティングに従事。その後、ドイツ証券にてドイツ銀行グループの日本における不動産審査の責任者を務める。2012年よりザイマックスグループの役員に就任、現在、ザイマックス不動産総合研究所にて不動産全般に係る調査研究を担当。不動産鑑定士、MAI、CCIM、Fellow of RICS、Member of CRE。ARESマスター「不動産投資分析」科目責任者、不動産証券化協会教育・資格制度委員会委員。

ザイマックスザイマックス総研の研究調査