活動報告(第三期)
- REPORT
ゼミナール2月6日、20日、3月6日
1月までに全ての講義が終わり、卒塾プロジェクトであるゼミナールが行われました。
昨年9月に5つのチーム分けが発表され、その後、各チームが「不動産における将来の課題を取り上げ、それに対する解決策を提案する」というテーマに対して、中山塾頭やアドバイザーの清水先生に相談などしながらテーマを決めていきました。
2月6日は全チームがそれぞれ20分のプレゼンを行いました。各チームのテーマは下記の通りです。
・コミュニティ・ディベロッパー ~縮んで色濃くなるためのエリアイノベーションの仕組み作り~
・ITサービス×不動産がもたらす未来都市
・マンションの建て替え問題から考えるあたらしい不動産ビジネス
・”新宿”からまちづくりの未来を考える
・ザ・地方創生~シェアリング・ヒトの導く2040年の未来~
地方への現地調査や有識者ヒアリングを行ったチーム、プレゼンの事前練習を何度もしたチームもあり、どのチームもとても熱のこもった成果発表が行われました。
2月20日と3月6日は、後日提出された各チームの発表内容に対しての質問・コメント等を元に、全員で討議が行われました。
また、最終チームのプレゼンと討議が終わった後、修了式が行われ、中山塾頭から挨拶と塾生へのメッセージが贈られ、修了証の授与と記念品の贈呈が行われました。
これをもちまして「第3期 からくさ不動産塾」の1年を通したプログラムは終了しました。
(ゼミに関する塾生の声)
当初は迷走したものの、これがきっかけとなり、ほぼ確実に一生気付くこともなかったであろう情報(各種の取り組みや政策、ビジネス、レポートや書籍など)にたどり着いて触れることができただけでも大変な財産になった。多種多様なバックグラウンドを持つメンバー、同期との意見交換や議論など、目の前の業務的な枠組みを離れた視点や発想でアタマを使い議論して刺激を受けるという経験は本当に貴重なものと思う。(30代・不動産業)
日常では出来ない経験をさせて頂きました。「それって、儲かるんだっけ?」といった軸でしか時間を費やすことが無かった分、不動産業の未来を考察する時間は、自分にとって非日常体験でした。これは、一人では到底できるものではなく、志の高い仲間と共に議論をすることが出来たからこそ、非常に濃密な時間となりました。(30代・不動産業)
メンバーが最高でした。発表は時間オーバーでしたが、本当に濃いものになりました。コミュニティディベロッパーというテーマは、まだまだ深いので、個人的に研究をつづけたいと思っていますし、いつか地元で事業化に関与したいという野心を持っています。(30代・建設業)
第十九回1月23日
テーマ
プレゼンテーション力+落語から学ぶビジネスへの扉
講師立川 談慶落語立川流真打ち
講義の最終となる第19回目は、立川談志の18番目の弟子として長い下積み生活を経て現在真打として活躍する落語家の立川談慶さん。落語は登場人物の会話で成り立っており、聞き手は状況を想像する事が前提となっています。常に他者目線が求められ、相手の立場に立って俯瞰してみることで「メタ認知」が磨かれ、想像力を働かす落語はコミュニケーション技術の向上につながる。また、相手を許しあい、豊かな人生を送ることができる心の持ち方として「非マジメ」を提唱されていました。
後半は落語を披露して頂きました。塾生達は、登場人物のコミュニケーションギャップが落語の面白さにつながっていると感じたようです。
【塾生の声】
落語を通じて、コミュニケーション力向上のために必要な姿勢や習慣として、「想像力」「常に疑問を持つこと」「非マジメ」「メタ認知」というキーワードを頂きました。何か課題にぶつかった時、マジメに考えれば考えるほど自分の物差しで自分以外を評価しがちですが、そんな時にこそ一歩引いて考える間合いや、俯瞰して見ることの重要性を改めて実感させられました。
また、落語初体験だったのですが、これを機に触れていきたいと思っています。ありがとうございました。(30代・不動産業)
立川談志さんとの師弟関係の話もとても面白かったですが、落語という領域にとどまらず、何かと何かを掛け合わせることで独自性が出るという視点や「非マジメ」の大切さなど、今後の自分の人生でヒントになりそうなところがいくつもあり、とても勉強になりました。また、今回落語というものを生で初めて聞きましたが、思わず場面の中に引き込まれて時を忘れてしまうほどでした。(30代・不動産鑑定)
慶応大学経済学部卒業後、株式会社ワコールに就職。3年後、吉本興業を経て立川談志師匠に入門。2005年真打に昇進。落語家としての活動以外に本を複数執筆。テレビ寺子屋やNHKラジオ講座の講師も務める、コミュニケーション指導の第一人者。
<主な著書>
『大事なことはすべて立川談志に教わった』(KKベストセラーズ)、『この一冊で仕事術が面白いほど身につく落語力』(KKロングセラーズ)、『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方』(PHP文庫)など多数
第十八回1月9日
テーマ
創造的過疎から考える地域イノベーション
講師大南 信也認定NPO法人グリーンバレー 理事
第十八回目はNPO法人グリーンバレーの理事、大南さんによる「創造的過疎から考える地域イノベーション」。“上がりのない双六”と称され常に変化を続け、地方創生の成功モデルとして新聞やメディアに度々登場する徳島県神山町。しかし、ここに至るまでには様々な課題があり、それを乗り越えるには「人との関わり」や「想い」が大切である。「できない理由より、できる方法を!」など、塾生へ向けて物事を進める上でどう考えればいいか塾生達に伝える、地方創生や街づくりという視点だけではない講義となりました。
【塾生の声】
今回の講義で一番印象に残ったのは、その「時間軸」の長さです。街おこしの契機となった事業が、成果らしい成果に結びつくまでに優に10年以上の月日が経過しています。しかし、大南さんは「自分たちの次の代で完成すれば良い」という姿勢で結果を急ぎません。本来、「不動産」や「街づくり」といった事業は、その様な時間軸で取り組むべき事業だと再認識させられました。(20代・不動産業)
以前より様々なメディアで聞いたことがあった神山プロジェクト。こんな綺麗なストーリー展開があるんだと思っていたのですが、やはりその道のりには多くの苦難があったようで・・・、そんな話まで教えてもらっていいの?!と思うことばかり。苦難の乗り換え方のhow to的なこともそうですが、プロジェクトを推進するには「やってやるぞ!」という熱い想いが重要だということが再認識できました。(30代・不動産総合サービス)
1953年徳島県神山町生まれ。米国スタンフォード大学院修了。帰郷後、仲間とともに「住民主導のまちづくり」を実践する中、1996年ころより「国際芸術家村づくり」に着手。全国初となる道路清掃活動「アドプト・プログラム」の実施や、「神山アーティスト・イン・レジデンス」などのアートプロジェクトを相次いで始動。町営施設の指定管理や、町移住交流支援センターの受託運営、ITベンチャー企業のサテライトオフィス誘致など複合的、複層的な地域づくりを推進。現在、多様性あふれる人が集う創造地域『せかいのかみやまづくり』を目指し活動中。
第十七回12月12日
テーマ
不動産ビジネス10年の計
講師榎本 英二野村不動産アーバンネット 代表取締役兼副社長執行役員
第十七回目の講義は野村不動産アーバンネットの榎本さん。不動産市場におけるこれから10年における構造変化の中で、「仮説を持つことを大切にして、ビジネスチャンスを見つけてほしい」というメッセージから始まりました。
不動産市場に影響があると思われる「新築からセカンダリー(既存)へ」「余る時代」「グローバル都市間競争」「不動産テックの時代」といった7つの構造変化についてのご自身の「仮説」を紹介されながら、塾生全員と意見交換を行って講義が進んでいきました。
【塾生の声】
2時間弱の時間が、あっという間に過ぎた講義でした。常に新鮮な気持ちを持って世の中の動きを捉え、次の10年、次の不動産ビジネスを考えていることに刺激を受け、自分もそうありたいと思いました。また、最後に述べられた、それぞれの専門性をもって、会社だけでなく、不動産業界全体に貢献して欲しいという言葉が心に響きました。(30代・金融業)
これからの不動産業界が避けては通れない課題、わかってはいたけれどじっくり考えてこなかった課題について、塾生とともに考察するチャンスを得た講義だった。特に、私も身を置く不動産テックについては、AIやブロックチェーン、IoTといった新しい技術が日進月歩で進化しており、便利さと安心安全の両立、技術による革新の可能性、不動産屋として本領を発揮できる部分等を見極めながら、不動産業界サイドがうまくテクノロジーを活用することが必要不可欠である。テクノロジーにもてあそばれ、不動産業界として死守すべき価値を気が付いたら失っていた、といった悲劇を起こさないよう身が引き締まる思いだった。(40代・不動産テック事業)
1985年慶應義塾大学経済学部卒業。1985年野村不動産入社、経理・総合企画・商品開発・資産運用事業に携わる。2008年執行役員 資産運用カンパニー副カンパニー長兼運用企画部長、2009年野村不動産投資顧問副社長、2013年野村不動産常務執行役員法人営業本部副本部長、2015年野村不動産アーバンネット専務執行役員を経て2017年同代表取締役兼副社長執行役員就任、現在に至る。1990年大手米国年金基金との米国不動産投資を開始し、1997年からは日本の不動産投資に着手、2001年不動産私募ファンド運用のため、野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社設立。2002年には日本の運用会社による初めてのオポチュニティファンドである日本不動産オポチュニティ・ファンド(JOFI)の組成・運用を手がける。
2004年以降、同社の安定型不動産私募ファンド(Smileシリーズ)の組成に携わり、2005年野村不動産投資顧問株式会社を設立、不動産証券化商品への投資に着手。2010年私募REIT第一号を運用開始。2013年野村不動産にてCREを中心とした法人営業を担当。2015年野村不動産アーバンネットにて仲介・CRE部門の企画を担当。
宅地建物取引主任者、日本不動産鑑定協会会員、日本証券アナリスト協会検定会員
第十六回11月28日
テーマ
場所の意味をほりあてて、形を考える
講師川添 善行建築家 東京大学准教授
第十六回目は建築家の川添さん。その場所や空間の持つ意味や歴史性を丁寧に理解し、その上で箱(建築物、不動産)を考えることの大切さについて、竹富島や東大図書館の建替えプロジェクトなどの事例を使った解説がありました。また、これからの地方都市のあり方について、その地域における潜在的な知識やノウハウを事業化し、情報発信していくという自らの取組みをご紹介頂きながら、都市の魅力をどう残していくかが日本の課題でもありチャンスでもある、とのお話もありました。
【塾生の声】
「場所を掘り当て、形を考える。」-このことは、新築時の設計だけではなく、建築を活用するときのヒントにもなる。もちろん、すべての建築がそうではないかもしれないが、よき建築は、周辺環境や街並みに整合するようにして、形作られているのであろう。しかも、これらは限られた予算という制約条件の中で、建築家、現場、それに施主の協働作業によって創られたものと言えそうだ。仮にそうだとすれば、既存の建築がいかなる意図で設計され、形が決まったのかという文脈は、活用する際に必ず考慮したい事項だ。建築を読み解くという能力を身につけたいと思った。(30代・建設業)
個人的にこれまで関わりのなかった「建築家」の方がどういったことを考えて仕事をしているのか、その一端をお聞きでき、非常に興味深かったです。その場所の意味・歴史を知り、周囲との関わりを考え、形を作っていく。具体的な事例を交えて先生の仕事・活動について講義頂きましたが、その背景に先生の物凄いバイタリティーを感じたことが印象的でした。(30代・不動産総合サービス)
東京大学卒業後、オランダ留学を経て、博士号を取得。ハウステンボスにある「変なホテル」の設計で、ギネス記録に登録される。およそ100年ぶりとなる東京大学新図書館計画を担当し、2017年に「東京大学総合図書館別館」を完成させた。設計だけでなく、「空間にこめられた意思をたどる」(幻冬舎)、「このまちに生きる」(彰国社)などの著作もある。日本建築学会作品選集新人賞、グッドデザイン未来づくりデザイン賞、ロヘリオ・サルモナ・南米建築賞名誉賞などを受賞し、空間構想一級建築士事務所、日蘭建築文化協会会長などの要職を務める。
第十五回-第2部11月7日
テーマ
消費者行動の変化と小売業のあり方
講師藤原 真ザイマックス商業不動産サポート事業部 事業推進部長
講師山田 賢一ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員
第十五回目の後半は「消費者行動の変化と小売業のあり方」。eコマースの進展、AIの進化、人口減少、都市構造の変化など、様々な要因によって、今後小売業はどのように変化していくのか。事前に配布された資料を元に、各チームごとに「食品スーパー」「ショッピングセンター」「ロードサイド店舗」「百貨店」の4種の「不動産」としての未来(概ね10年~20年後)についてディスカッションが行われました。小売業や商業施設投資に従事する塾生達もおり、それぞれに業務目線・利用者目線から、活発な議論が行われました。
【塾生の声】
普段、小売業や商業店舗に関わる機会が少ないので、業態毎の特徴やコンバージョンの事例等は非常に興味深く聞かせて頂きました(特にパチンコ屋をモスクにした事例は衝撃的!)
一方で、単にユーザー目線で捉えるのではなく、我々は不動産のプロとして、人口減少・Eコマースの進展等が各業態に与える影響や業態毎の今後の方向性を考察し、その延長で、既存の建物ストックをどういった形で有効活用するか、といった視点を持つことが大切だと感じました。そういった面からも、今回の講義では、塾生同士の活発な議論を通じて、様々なアイデアに触れることができ、大変有意義な時間となりました。(30代・保険業)
EC取引の拡大などにより、今後、商業施設のあり方が大きく変わっていく可能性があることがディスカッションを通じて改めて認識できました。仮に、今後、商業施設としての機能を“たたまざる”を得なくなったとき、その後はどのような用途として使うべきか。普段なかなか馴染みのない分野ではありましたが、人口減少時代におけるまちづくりのあり方とも整合を図りながら考えていくべき難しいテーマであると感じました。(30代・公務員)
1998年株式会社パルコ入社。店舗運営、マーケティング、新業態施設プランニング・リーシング等に従事。2006年ザイマックス入社後、大型商業施設開業・リニューアル等を牽引、現在は小売企業を対象としたCRE・不動産サポート事業を行う。京都大学文学部卒業。
1991年大手流通企業に入社。10年以上にわたり、新規出店・改装のプランニング業務に携わる。2007年にザイマックスグループ入社。主に商業施設の運営管理業務を行う。2014年よりザイマックス総研にて商業施設・小売業界の調査研究を担当。上智大学文学部卒業。
第十五回-第1部11月7日
テーマ
変化するオフィスマーケット
講師山方 俊彦ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員
第十五回目の前半はオフィスマーケットの市場規模やマーケットの変遷を確認しながら、世間に出ている情報の見方や一般に言われているオフィスマーケットの常識について改めてとらえ直してみるべく、解説がありました。
その後のグループ討議では、4つのグループに分かれ、それぞれ「大規模ビル」「中小規模ビル」「テナント需要」「マーケット動向」のテーマについて議論し、発表を行いました。
【塾生の声】
実務に親和性がある議題であり、改めて空室率の推移やストック構造の変化など再認識するいい機会となった。
都内では9割を占める中小ビルの老朽化が進む一方、ビルオーナーの高齢化や資金繰り等により需要に応えきれないといった課題に、行政や民間が一体となり向き合う時期にきている。IOTと組み合わせる解決策検討や社会的課題を意識しながらの議論は、からくさ塾ならではでもあり、有意義な講義となった。(30代・不動産業)
「これからの不動産市場をプロの目線で追うためにデータをどう読み解くか」情報不足、不透明と呼ばれる不動産業界で昨今情報のオープン化やビックデータを用いた解析が注目されている。しかし時に現状とデータに差が生じたり、表現方法で印象操作に使われたりする事があり、しっかりとデータを読み解く力が必要だと説いてくださいました。「空室率と賃料の相関関係」や「オフィスビルが景気に遅行して受ける影響」など分かりやすくデータを示してもらい、プロの目線とは何かと考えさせられる良い機会となりました。(30代・不動産総合サービス)
1991年日本生命保険に入社。不動産部にて投資用不動産の運営実務に携わり、1997年にニッセイ基礎研究所出向。オフィスマーケットの調査研究に従事。2003年にザイマックス入社。マーケティング部で不動産のデューデリジェンス、マーケット分析を行い、その後、(株)ザイマックス不動産マーケティング研究所(現在のザイマックス総研の前身)及び現ザイマックス総研では、不動産マーケットの調査分析・研究を担当。ARES不動産証券化マスター養成講座テキスト「102不動産投資の実務」“第Ⅱ部不動産市場の指標と見方”を執筆。
第十四回-第2部10月24日
テーマ
グローバルな視点:中国の不動産事情
講師菱村 千枝不動産鑑定工房株式会社 取締役
第十四回目の後半は中国の不動産事情について、不動産鑑定士の菱村さんによる講義。長年中国にて不動産評価やコンサルティングに携わってきたご自身の実体験を元に、日中の経済成長や不動産取引の違いについて解説頂きました。
農村からの継続した大規模な人口流入を背景に住宅価格は上がり続けているが、中国国内の所得格差の拡大や外貨準備高の減少などを中国共産党は問題視して、住宅の需要と供給の両方への規制強化や、海外への投資抑制政策がとられている点など、日本とは大きく異なる不動産取引市場について解説頂きました。
【塾生の声】
人口、GDPなど、各種指標を見ても驚異的な成長を遂げる中国について、これまでは一旅行者として、開発の規模や大胆な構想力のある建築物を見て利用しているだけでした。講義を通し、客観的な指標による中国の不動産市況の推移、当局の政策動向を把握でき、今後の中国不動産への関わり方として、国内不動産を見るような視点を持つことができました。(40代・その他)
これまで興味はあったものの、タッチできていなかった中国不動産につきわかりやすく教えていただき為になりました。そもそも税制面で日本とは大きく違う点は驚いた。一方で法人、個人とも国の政策によって資産形成が左右される点についても非常に興味深かった。また本講義を通じて日本と中国の大きく異なる差を踏まえることで新たなビジネスチャンスがあるのではないかと感じました。(30代・証券業)
不動産鑑定士/MRICS
大阪外大卒、中国北京中央財経大学大学院会計学専攻修士不動産鑑定業務に従事して約30年。
2005年から北京の資産評価会社に留職し、大陸での資産・不動産評価経験を積む。
現在は東京を拠点に国内外の不動産・資産評価、コンサルティング業務に従事。
第十四回-第1部10月24日
テーマ
グローバルな視点:米国の不動産事情
講師山本 みゆきサンポップインターナショナルマネージング・ディレクター
第十四回目の前半は米国で長年に亘り不動産仲介・コンサルティング業などに携わってきた山本さんによる講義。事前配布された米国の不動産マーケット資料とは別に、講義ではシェアオフィスが拡大している背景や不動産投資への影響、e-コマース大手企業による実店舗出店の動きなど、ニューヨークにおける最新事情の解説がありました。空中権に関してトランプタワーやロックフェラーセンターの事例紹介の他、トランプ政権後の規制強化の流れについても解説がありました。
【塾生の声】
実際にニューヨークで生活されて得られる知見(慣習)と、現地にアンテナがあるからこその新鮮な情報は楽しいものでした。EC大手の実店舗化は、「現物に触ってから買いたい」「ネットで買っても返品交換は店頭でしたい」需要者の要望からと話がありました。小売業がECをはじめ、デジタルを用いた接客(足型の採寸、肌の状態分析など)を取り入れる流れはありましたが、逆もしかりのなのかと思いました。リアルだからこそ得られる体験、デジタルだから叶う利便性、どちらも需要者側からは求められるものであり、今後の商業という在り方を考えさせるテーマでした。(30代・小売業)
今回の講義でニューヨークの最前線から生の情報が聞けまして、大変興味深い内容でした。シェアオフィスの急成長は印象的であり、日本と米国のシェアオフィス利用状況の比較の中で、働き方改革で日本のシェアオフィス市場も今後成長する可能性があると考えました。また、近年米国で物販店の閉店ラッシュが騒がれる中、先生がご紹介されたEC店が積極的にリアル店舗を出店している事例で変化する商業の一面を拝見できました。(30代・建設業)
不動産コンサルタント。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。
CCIM(米国不動産投資アドバイザー)、NY州公認ブローカー。NHK海外取材の翻訳にも携わる。
<主な著書>
米国の不動産知識 A to Z(住宅新報社)、
各種不動産業界誌に米国不動産事情連載
第十三回-第2部10月10日
テーマ
企業における不動産戦略
-CRE戦略と不動産テック-
講師板谷 敏正株式会社プロパティデータバンク 代表取締役社長
第十三回目の後半は、今年6月に東証マザーズに上場したプロパティデータバンクの板谷さんによる「企業における不動産戦略と不動産テックの動向」。まず公共部門で最近行われているストック活用や官民連携の事例紹介があり、その後、民間部門におけるCREマネジメントによる企業価値の向上について、具体的な手法を企業の戦略や事例を交えて解説頂きました。また、不動産テックによりデータ活用等が進めば、新たなビジネスモデルや産業が創出され、業界全体で経営改革が進展していくだろうとの解説がありました。
【塾生の声】
冒頭で元々清水建設の社内ベンチャーから派生した事業であることに驚きつつ、FMの重要性やCRE戦略等、様々な貴重なお話をお伺いすることができましたが、中でも非常に興味深かったのが商業施設の売上予測をする不動産テック事例の紹介でした。
私自身も商業施設のAM担当をしているため、外壁に設置する看板の色や視認性等を数値化して売上予測に繋げるシステムがあることを初めて知り、不動産テックビジネスの急速な進化を改めて実感した講義となりました。(30代・不動産業)
企業不動産マネジメントによる生産性向上に関して、昨今、働き方改革や生産性の向上といった話題の中でどこか消化しきれずにいた部分があったが、今回の講義を受け「その成果をどう測定していくか」という視点に欠けていたことに気付かされた。
例えば不動産テックによるデータ活用や生産性の数値化などによって他者と共有できる共通の尺度が整うことで有効な現状分析や目標設定が可能になるという点とともに、生産性向上と言ったテーマに限らず、様々な指標の背景にある考え方への適切な理解があってはじめて本質的な検証や理解が可能になるものと、強く認識させられた。(40代・不動産投資業)
早稲田大学大学院理工学研究科修了、清水建設株式会社入社。
2000年、社内ベンチャー制度を活用し、不動産管理向けクラウドサービスを展開するプロパティデータバンク株式会社設立、代表取締役就任。09年には最も優れた経営戦略を実践する企業として“ポーター賞”を受賞。18年には東京証券取引上マザーズ市場に上場。その他国交省「企業不動産の合理的な所有・利用に関する研究会」委員、「不動産ID・EDI研究会(2007)」委員、日本ファシリティマネジメント協会理事などを務める。芝浦工業大学客員教授、早稲田大学理工学研究所招聘研究員を兼任。博士(工学)
<主な著書>
CRE戦略と企業経営(東洋経済新報社)
次世代建設産業戦略2015(日刊建設通信)
第十三回-第1部10月10日
テーマ
グローバルな視点からみた日本の働き方とオフィス戦略
講師石崎 真弓ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員
第十三回目前半は石崎さんによる「グローバルな視点からみた日本の働き方とオフィス戦略」。諸外国における働き方の変化と日本の現状について、様々なデータを用いた解説がありました。また、働き方改革の目的は生産性の向上であり、今後、企業が働き方改革を進める上でワークプレイスのあり方は重要な経営課題として認識され、スペースの効率化やABWの導入、フレキシブルに利用できるオフィスの選択といった流れが進んでいく可能性があるとの解説がありました。
【塾生の声】
テレワークやABWを導入しようとする企業の中でも、それらを導入することが目的になってしまっている企業も在ると聴く中で、より根源的に、「日本が抱える問題×不動産」という軸で考えて行く必要があると感じた。
海外の様々な事例も具体的に紹介して頂いたが、日本全体の人口減少、自然災害、経済や人口の一極集中といった問題を抱えながら、国際競争力を維持向上させて行くために、日本固有の課題認識と、目指すべき方向性を理解した上で、不動産の流通や開発に携わって行きたい。(30代・不動産業)
各国の働き方と比べた場合の日本の位置付けや、日本で現在シェアオフィス等が広がっている背景について、理解する事ができました。
海外の様々な事例と比較すると、日本でフレキシブルオフィスが広がっているとはいっても、まだまだ始まりの段階にあるのだと感じました。また、現在急速に働き方をめぐる環境が変化しつつあるなかで、自分の中の働き方の「あたりまえ」も変えていかなくてはならないと思いました。(30代・不動産鑑定)
リクルート入社、リクルートビルマネジメント(RBM)出向。
オフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPMなどに従事したのち、マーケティング部にて数多くの投資家向けのマーケットレポートやデューデリジェンスなどを担当。
その後も、ザイマックス不動産マーケティング研究所(ザイマックス総研の前身)及び現ザイマックス総研で一貫して不動産マーケットの調査分析、研究に従事。さらに最近では、「働き方とオフィス」をテーマにした研究調査をしている。
第十二回-第2部9月26日
テーマ
ホテル資産投資の概要
講師沢柳 知彦ジョーンズラングラサール株式会社 取締役 執行役員
ホテルズ&ホスピタリティ事業部長
第十二回目の後半は、沢柳さんによる「ホテル資産投資の概要」。日本のホテルマーケットの概要や、ホテル独特の事業形態である“運営・経営・所有の分離“について詳細な解説が行われました。リゾート開発時における課題として日本の社会慣習や労働力不足があり、ビジネスホテルが多く作られる背景は収益性だけでなく事業者の考え方の違いがあることについても解説が行われました。快適性を損なわず収益性を向上する取組みも最近増えており、多くのホテル事例を交えて紹介頂きました。
【塾生の声】
短い時間の中に、ホテルマーケットや運営方式の類型といった基本から、ホテル収益向上に向けた事業者の取組事例の紹介まで、内容が密に詰まっていて、好奇心を刺激される講義でした。特に、ホテルのポジショニングの多軸化に関するお話は、ホテルアセットに限らず、他のアセット、サービスにも共通するキーワードであると感じ、楽しく拝聴しました。(30代・金融業)
世の中的にもHOTな分野に特化した講義で、不動産業界に携わる立場としても1ユーザーの立場としても非常に興味深い内容でした。
講義を聞く中で、改めてこれらの業界の課題を解決したり、業界を盛り上げたりする上では、サービス提供側だけでなくユーザー側からもポジティブな歩み寄り・発信が必要だなと感じる非常に有意義な機会でした。(30代・不動産総合サービス)
1987年日本長期信用銀行入行後、海外ホテル投資会社に出向、フォーシーズンズ・バリなどのホテルアセットマネジメントおよび売却業務に従事。2000年6月JLL日本にてホテルズ&ホスピタリティグループを立ち上げ。以後、リッツカールトン東京契約交渉、全日本空輸・IHGのホテル運営会社JV組成、全日本空輸ホテルポートフォリオ売却などを支援。現在、立教大学大学院特任教授、宿泊施設活性化機構理事なども務める。
第十二回-第1部9月26日
テーマ
深化するロジスティクス不動産ビジネス
講師辻 俊昭日本ロジスティクスフィールド総合研究所代表取締役
第十二回目前半の講義は辻さんによる「深化する不動産ビジネス-2ndステージに入った物流不動産の変貌-」。拡大を続けている物流不動産市場の発展や物流施設の変遷、現在や将来における需給予測、さらには日本におけるEC業界の実情など、幅広く解説頂きました。
また、労働力不足に対処するための自動化・ロボット化、EC化の伸展に伴う影響、ラストワンマイル問題、災害時におけるBCP対応の必要性など、物流を取りまく課題や最新の動向についての解説も行われました。
【塾生の声】
ロジスティックスって最近よく聞くけど、かなり増えてるよね。
恥ずかしながら、そんな程度の認識で講義に臨んだ私ですが、倉庫の機能の拡張などの不動産的ハード面からのアプローチのみならず、ロジスティックスの根本となる物流の将来予測まで伺えて非常に興味深かったです。
通販ビジネスが最近増えているのに、意外と儲からない理由。日本でECがまだまだ普及しきっていない理由。普段感覚論で話していた議題について、ぐっと深い知識を得ることが出来ました。(20代・不動産業)
業務上、物流のアセットに関わることはありましたが、業界としての理解を深める機会がなかったため非常に興味深い講義でした。
労働人口が減少している中で物流業務の自動化・ロボット化は加速させていくべきだと思いますが、投資コストの回収の難しさという課題をクリアするためには、そもそもの物流業務のあり方・考え方も変える必要があるのでは、と感じました。(30代・不動産総合サービス)
京都大学工学部卒。野村総合研究所にて、行政機関、民間企業の物流に関する調査、コンサルティング活動を実施。港湾計画、空港計画、道路整備計画等のハード計画のほか、地域物流マネジメント政策、港湾物流施策、物流セキュリティ等のソフト面でも国や民間企業と共同で実施。その後、(株)日本レップに移り、関連会社であるジェイ・レップ・ロジスティクス総合研究所の代表取締役を務める。ここでは物流不動産に特化したコンサルティング会社として、物流不動産マーケットの分析、各種情報発信等を行う。
現在、2009年に立ち上げた(株)日本ロジスティクスフィールド総合研究所において、物流不動産などに関する調査・コンサルティング活動を実施。
特別講演・全体懇親会9月12日
9月12日(水)「からくさ不動産塾」の卒塾生・三期生および講師の先生方にご参加頂き、特別講演・全体懇親会が開催されました。
前半は、当塾のアドバイザーの政策研究大学院大学特別教授、東京大学名誉教授、政府統計委員会委員長・西村淸彦先生による特別講演「世界経済の状況と日本 ~“茹であがった世界”と小国化する“辺境の国”~」が行われ、グローバルな視点で、米国や中国、新興国で現在進行している事、そして日本が置かれた状況とこれから、などについて分かりやすく解説して頂きました。
後半は場所を移して全体懇親会が開催されました。会の中盤では卒塾生・三期生の代表からスピーチがあり、二期生からは昨年を通した感想と三期生に向けたゼミの取組みのアドバイスなどを語って頂きました。三期生代表からはプログラム前半の振り返りと後半に向けた意気込みが語られました。会の終盤には三期生のゼミのチーム分けが発表され、塾生達は「からくさ不動産塾」の後半に向け、気持ちを新たにしたようです。
特別講義・全体懇親会には講師の先生方や卒塾生達が数多く集い、毎年盛大になってきています。今後もこのような機会を通じながら、期を超えた「からくさ不動産塾」のネットワークが広がっていく事を期待します。
第十一回9月5日
テーマ
不動産資本市場発展の25年を振り返って
講師冨川 秀二三井不動産投資顧問(株)代表取締役
第十一回目は、日本の不動産資本市場の黎明期から第一線でご活躍されている冨川さんよりご講義いただきました。90年代以降に不動産と金融が融合して業界が大きく変貌、成長を遂げた経緯や、背景、さらには米国での市場拡大に寄与した諸制度との比較等をご自身の経験談や思いも交えながら解説頂きました。また、どのようなアセットクラスがグローバル展開可能かといった解説も行われ、塾生達は不動産業界の成り立ちを知り、これからの不動産業界のあり方を強く意識する機会になりました。
【塾生の声】
まさに不動産業界にとって激動の25年といっても過言ではない時代を、第一線でご活躍されてきた冨川社長のご説明には説得力があり、その時代に起こった出来事と結び付けてご説明頂くことで、市場の変遷を体系的に振り返ることができました。
国内では人口減少が急速に進む中、不動産業界の将来展望にあたってはグローバルな視点は欠かせないことを改めて実感するとともに、今後、不動産のアウトバウンド投資を加速させていくためには、産業構造の変化を敏感に感じ取りつつも、ローカルパートナー・ビジネスを大切にしていくことが重要である点など、多くの新しい気づきを得ることができました。(30代・生命保険)
我が国の不動産資本市場が米国よりも遅れた原因は、不動産の情報の不透明にあった、という点が印象に残った。
わが国でも、最近では、企業が保有する建物であれば、竣工時の図面や補修履歴といった管理の情報が保管されていることも多くなったし、取引の際にはエンジニアリングレポートが作成されることも少なくない。しかし、オーナーの情報の管理状況や予算の制約との関係で、情報が十分な物件ばかりはないことも事実だ。依然として建築の情報収集のためのツールを改善していく余地はある。このようなツールの改善次第では、未知の不動産が投資適格の対象となっていくかもしれない。富川講師のお話をお聞きし、投資と情報は、古くて新しい問題だと再認識した。(30代・建設業)
1983年三井不動産入社。1988年ハーバード大学大学院ビジネススクール卒業。
1989年三井不動産ニューヨーク。1997年10月三井不動産投資顧問設立とともに、同社法人営業部長、2004年4月常務取締役就任。
2007年4月三井不動産法人ソリューション部長、2011年4月執行役員不動産ソリューションサービス本部長就任。2015年4月三井不動産グループ執行役員、三井不動産投資顧問代表取締役社長就任。現在に至る。
第十回8月22日
テーマ
都市計画と不動産
講師宇於崎 勝也日本大学大学院不動産科学専攻教授
第十回目は宇於﨑先生による不動産と関わりの深い、都市計画についての講義です。
前半では日本の都市計画に関わる基本的な法律や諸制度の変遷など体系的な講義が行われました。また、過去に海外で行われた都市のあり方に関する研究の紹介や、これからの都市と不動産のあり方、都市計画における課題等、多岐にわたった解説が行われました。
後半ではグループごとに、特区、空き家、民泊など最近の都市計画を巡る5つの話題から1つを選んで課題や解決策をみつける議論を行い、グループの発表ごとに宇於崎先生から講評・アドバイスを頂きました。
【塾生の声】
不動産の実業に携わっていると目前にある姿しか見ようとしない。しかし実際には目に見えないものが背景にあることを、都市計画は気づかせてくれる。今回の講義は、存在はしているが見ようとしていない課題を真正面からとらえるよい機会となった。ディスカッションでは空家問題や生産緑地問題がテーマになり一瞬暗い雰囲気になったが、我々世代が解決すべき課題と真正面から受けて立つ心意気がからくさ不動産塾の真髄である。(40代・不動産テック事業)
普段から馴染み深い都市計画ではありますが、その沿革も含めて丁寧に講義いただき、改めて勉強になりました。計画的なまちづくりの推進が重要であると言われますが、数ある制度の中から地域にとってベストな制度を選択し、それを運用することは、実は容易ではありません。誰のため、何のための都市計画か、社会全体で考えていくことが重要であると感じました。(30代・公務員)
日本大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。日本大学理工学部助手、専任講師、助教授、准教授を経て、現在、日本大学理工学部教授。平成6年5月から1年間「平成6年度日本大学長期海外派遣研究員」として英国及び欧州諸国に長期出張。現在、地方自治体の都市計画審議会委員、建築審査会委員などを務める。
<主な著書>
小嶋勝衛 監修「都市の計画と設計 第2版」(平成20年12月・共立出版)
一般社団法人 日本建築学会 編「観再考 景観からの豊かな人間環境づくり宣言」(平成25年8月)
第九回8月1日
テーマ
先を読むための「アナロジー思考」
講師細谷 功ビジネスコンサルタント/著述家
(株)クニエ コンサルティング/フェロー
第九回目は、ビジネスコンサルタントの細谷功さん。
先を読み、新しいビジネスを発想するための「アナロジー思考」がテーマ。自分の課題や問題に対し、「一見、遠い世界」での抽象化した共通点を見つけ、新しい解決策へと導く手法について解説されました。
新しいアイデアは「借りてきて組み合わせる」ことで生まれるが、では、どうやって既存のアイデアを「借りてくる」のか?過去の延長や単独業界内で考えるのではなく、既成にとらわれない広い視野をもって考える。多くの事例紹介や演習を通して塾生は「アナロジー思考」を理解を深める講義となりました。
【塾生の声】
「ミライのニーズを狙い打ちする。」不連続な世界から未来を予測し先回りすることは非常に困難である。講師の細谷先生は、そんな世界の中でもっと頭をやわらかくドラスティックにそして時にユーモラスに世界を切り開こうと説いてくださいました。
○○がなかったらどんな世界?一見関係のない2つの事象の共通点は?と矢継ぎ早の問いにメンバー一同、頭をフル回転させて答えました。普段如何に自分が既定路線でしか思考していなかったかを痛感させられ、少し先の不動産の形に誰もが想像し得ないもっと夢のある世界があるのではないかと考えるきっかけとなりました。(30代・不動産業)
「アナロジー思考」を使って「遠くから」「借りてくる」。自分が日々いかに硬直的な考えに縛られているかに気づかされる講義でした。物事をつい具体→具体で考えてしまうところを、一度抽象化する、またそのための時間をとるよう心がけたいと感じました。からくさ不動産塾を通じて色んな方々と交流を深め、他分野と共通する構造に気づき、柔軟に活用するようにしたいと思いました。(30代・証券業)
株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ等の米仏日系コンサルティング会社にて業務請負改革等のコンサルティングに従事。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。主な著書に『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(東洋経済新報社)、『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)等がある。
全体勉強会7月25日
現在、三期目を運営中のからくさ不動産塾。
7月25日に、一期・二期のからくさ不動産塾の卒塾生と現三期生を交えた初めての全体勉強会が開催され、合計42名が集まりました。
勉強会は特定のテーマを取り上げ、グループディスカッションをするというもの。
今回は最近国交省で取り組んでいる「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」を題材に塾生から話題提供をしていただき、グループごとに働き方改革や2030年の不動産あり方などについて議論してもらいました。
テーマがかなり広くディスカッションの時間が1時間弱と限られている中、身近な問題から考えるグループ、逆に広い視点で大胆な解決策を検討するグループと様々で、一定の結論が出るわけではないものの、自由闊達な意見・斬新な提案が出ていました。卒塾生達も「久しぶりのからくさ不動産塾の感覚だ」と期を跨いだ議論を楽しみ、その後の懇親会も多いに盛り上がりました。
卒塾生・現塾生合わせるとすでにからくさ不動産塾の塾生は55名にものぼっています。
毎期、同期内では非常に強い繋がりができていますが、今後はさらに、期を超えた縦の繋がりも広がるよう、勉強会などのイベントを企画していく予定です。
第八回7月18日
テーマ
「デザイン」と不動産
講師林 厚見株式会社スピーク 共同代表/「東京R不動産」ディレクター
第八回目の講義は「東京R不動産」のディレクター、林厚見さん。
立地やスペックといった目に見える価値が重視された時代から、「デザイン」といった感性に基づく価値が重視されるようになるまでの変遷、さらにはそもそもデザインといった「右脳価値」が「経済価値」に結びつくために必要な考え方など、一見曖昧に見えるテーマをロジカルに解説して頂きました。
「東京R不動産」を中心とした各種ビジネスで顧客の感性に響くサービスを創出している林さんご自身の経験をご紹介頂きながら、塾生は日頃無意識に右脳で感じている価値を取り出し、不動産ビジネスとの接点を考える講義となりました。
【塾生の声】
「右脳価値」を経済価値にどう結びつけるかがデザインの役割である、非常に印象的なフレーズであったとともに、共感できる内容でした。
時代の流れとともにオフィスにおけるニーズが変化する中、今オフィスを供給する側として過渡期を迎えているからこそ、ハード・ソフトの両面でデザインしていく必要性を改めて感じました。
また、流通のデザイン化、販売動機を完結させるストーリー作りにより、顧客や利用者の右脳価値を気づかせる、今後の業務にうまく活かしたい視点となりそうです。(30代・不動産業)
デザインという観点での講義とのことで、ある意味耳障りよく、キレイなもので包み隠そうとする表面的な観点での作品例示の場になるのかと、少し構えていたが、実際は携わる不動産の価値を引き出し、その価値を評価する人との接点をいかに作るのか、引き合わせの場作りの方法論を考えさせられる講義でした。
不確実性の高いこれからの社会における、不動産価値の創出手法を学ぶ良い機会となりました。(30代・その他)
1971年東京生まれ。東京大学工学部建築学科(建築意匠専攻)、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。経営戦略コンサルティング会社マッキンゼー&カンパニー、国内の不動産ディベロッパーを経て現職。物件サイト「東京R不動産」、「R不動産toolbox」のマネジメントのほか、建築・不動産・地域等の開発・再生や新規事業のプロデュースを行う。共編著書に『東京R不動産2』『だから、僕らはこの働き方を選んだ』『toolbox 家を編集するために』『2025年の建築 新しいシゴト』等。
第七回-第2部7月4日
テーマ
高齢化社会とヘルスケアビジネス
講師大割 慶一KPMGヘルスケアジャパン代表取締役/パートナー
第七回目後半の講義はKPMGヘルスケアジャパン大割さんによるヘルスケア市場の現状と未来を考える内容でした。
そもそもヘルスケア産業とは何か、世界と国内における現状と、これから日本が直面する様々な課題について説明がありました。また、これからライフサイエンスやIT技術がヘルスケアと融合して、ヘルスケア産業が、そしてその価値も大きく変わる可能性について解説がありました。塾生達は不動産分野においてどのようにヘルスケア産業と関わるのか、お互いに議論を深めていました。
【塾生の声】
今回の講義は日本のヘルスケア市場の現状・課題及び世界の最新取組や技術事例という、非常に興味深い内容でした。講義が終わった後も、他の塾生との意見交換が続くほど関心を深める議題でした。ただでさえ高齢化に伴う医療資源への負担が増す上に、他の先進国と比較して日本の医療産業の効率向上がどれほど緊急な課題であるということが特に印象的でした。バーチャル化やゲノム編集といった最新技術で解決される課題もあるなかで、基盤となるの「不動産」の在り方のヒントになりました。(30代・建設業)
ヘルスケア産業について業務上アセットに携わることはあっても、産業そのものに理解を深めることができる機会がなかったため、非常に、有意義であった。超高齢化社会を目前にし人々のライフスタイルに既存の病院施設が適応していないこと、他国対比医師数が少ないことなど解決していかなければならないと理解した。不動産からの視点だけでなく、産業全体を見なければ根本的な問題解決はできないと痛感した。(30代・証券業)
KPMG東京事務所入社後、KPMGドイツ デュッセルドルフ事務所赴任。KPMGドイツのジャパンデスク統括責任者として、日系企業の欧州事業戦略、組織再編、M&A、リストラクチャリング等プロジェクトに対するアドバイザリー業務に関与。帰国後は、ファイナンシャルアドバイザーとして国内およびクロスボーダーM&A案件を数多く手がける。2000年、KPMGヘルスケアジャパン設立。医療・介護産業を含むヘルスケアセクターに特化した戦略立案・業務変革関連、M&A関連、ファイナンス関連のコンサルティング・アドバイザリー事業の責任者を務める。
第七回-第1部7月4日
テーマ
住宅市場の最新動向
講師関 俊修リクルート住まいカンパニー 執行役員
第七回目前半はリクルート住まいカンパニー関さんより最新の住宅市場について解説が行われました。
まず、マンション価格や供給量等の長期トレンドを確認した上で、市場が変容してきた背景や社会情勢のポイントの解説が行われました。次に、需要(購入)者において世帯構成や働き方、考え方がどう変化してきたか、膨大なアンケート結果に基づいて説明が行われました。また、今後の住まいにおけるトレンドでは「育住近接」がキーワードになるという紹介があり、社会の変化を捉えたこれからのマンション市場を考える講義となりました。
【塾生の声】
マーケティング分析を自社で独自でやられていて、まさに、生の信頼のおけるデータを拝見できた。私自身も住居をローン購入している身として、共感できるデータ結果でしたし、今後の住まいの在り方の確信(革新)が垣間みえる内容だったように感じました。経済は基より、技術進展や、それらによっての人の思考の変化により、住宅に求める機能や価値観が将来にわたって、どうなっていくか考えさせられる機会を頂きました。(30代・小売業)
講義では新築及び中古マンションの需給や価格動向等を中心にご説明いただきました。その中で外国人の日本のマンションへの需要が強い一方、ローン審査や実際に住むにあたって外国人が多いと日本人が敬遠するといった課題も言及されておりました。日本の人口が減少している中、労働力等の面で外国人に頼らざるを得ない状況下において、まだまだ住宅領域における外国人へのサービス提供が進んでいないといった業界の課題が浮き彫りになり、業界としてしっかり対応していかなければならない危機感を改めて感じました。(30代・不動産投資運用業)
1993年 (株)リクルート入社。新築分譲マンション領域営業を12年経験後、スタッフとして、MP(メディアプロデュース)部へ。
2008年 MP・事業推進部ディビジョンオフィサー
2012年 分社後、リクルート住まいカンパニー執行役員 分譲マンション営業統括部 統括部長
2014年 営業統括本部統括本部長
2016年 営業統括本部統括本部長 兼 賃貸営業部 統括部長
2017年 分譲マンション営業統括部 統括部長(現職)
第六回6月20日
テーマ
不動産ファイナンスとPRE・PPP/PFI
講師内藤 伸浩不動産証券化協会 専務理事
第6回目の講義は、J-REIT市場の創設に関われた不動産証券化協会専務理事の内藤さんによる講義。
前半はJ-REIT市場や証券化のスキームなど、不動産証券化の基礎的な事項だけでなく、ご自身の経験談も交えながら解説頂きました。
後半では公共不動産を取り上げ、その実態や課題に対して様々な戦略を、具体的な事例を取り上げて解説して頂きました。地方公共団体による公共不動産戦略についてはこれまでの単なる「活用」から「資産性に見合った活用」という視点へのシフトが課題である中で、民間の取り組みの重要性が増してくるという解説がなされました。
【塾生の声】
官や民といった枠に捉われて部分部分の継接ぎ的な対処療法では無く、また国内での競争だけに捉われず、『金融』『観光』『イノベーション』といったキーワードで如何に世界の中で魅力的な国家として生き残っていくのか、を真剣に考え直すステージに来ており、それに対して『不動産』という切り口で取り組んでいく意義を感じた。その中で公的不動産へのアプローチにおいては収益性や資金調達に加えて『ストーリーへの共感』がネックにもドライブにもなり得るが、不動産会社や官といった主体だけで無く、例えば地域住民へのタッチポイントが多い地銀や保険会社やインフラ企業との協業の可能性も感じた。(20代・証券業)
自身がまさに身を置く不動産証券化という領域について、「目前の仕事」という枠を超えてそれが広く「世の中の課題」に応えるソリューションの一つとして持ち得る機能についての視点や理解を整理する機会を頂きました。変化していく時代や環境の中にあって、その仕事は本質的に誰の役に立つものなのか?それは世の中にどう繋がり、働きかけうるものなのか?といった問いを忘れずに主体的に考えて行動する姿勢を持たなければ、との思いを新たにするきっかけとなる講義でした。(40代・不動産投資業)
1981年東京大学法学部卒業後、三井不動産(株)入社。1991年慶応義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。2009年より東京大学公共政策大学院特任教授(2014年3月退任)、2014年10月より東京大学公共政策大学院客員教授(2017年3月退任)。2015年5月より一般社団法人 不動産証券化協会 専務理事、現在に至る。
<著書>
『人口減少時代の公共施設改革~まちづくりがキーワード』(時事通信社、2015年)
『アセット・ファイナンス~資産金融の理論と実際』(ダイヤモンド社、2003年、不動産協会優秀 著作奨励賞受賞)
『日本企業の戦略管理システム』(白桃書房、1997年、共著)
第五回6月6日
テーマ
自分を知る・他人を知る・ユーザーを知る・チームワークに生かす
講師くらたまなぶ株式会社あそぶとまなぶ 代表取締役
第五回目の講義は不動産を少し離れ、くらたまなぶさんによる、個性やコミュニケーションを題材とした講義が行われました。
塾生は事前にMBTI型性格診断テストを受けたうえで講義を受講。前半はMBTIの成り立ちを、その原型である心理学的類型論を唱えたユングや同時期に生きたフロイト、アドラーといった心理学者など、それぞれに異なる個性を持った人物を紹介しつつ、さらにこれを社内コミュニケーションに活用してきたリクルートのエピソードなども交えて解説。後半では、塾生同士で各々の結果を共有。その結果を踏まえ、MBTI型のとらえ方やその意味するところ、そして各々に異なる個性を持った個人間でのコミュニケーションへの活かし方について解説を行って頂きました。
【塾生の声】
人事として、採用の場面でよく利用するSPI。そのSPIが世の中に存在する前に活用されていたMBTI。その成り立ちに始まり、個人個人が持つ個性、そしてその個性をどう活かせばチームとして機能するかを学ぶ授業でした。個ではなくチームでワークする場面において、お互いの個性をちゃんと理解することの大切さを改めて学ぶことができ有意義な時間でした。(30代・不動産総合サービス)
講師のインスピレーションあふれる話に思わず引き込まれました。性格診断テストにより自分の性格タイプを知るとともに、それを4つの観点から読み解くことで、自分の強み・弱みを整理するための軸を持つことができました。仕事のどのような場面で自分を活かすことができるのか、あるいは周囲の人とどのように協力しあうか、この軸を意識することで、物事がより円滑に進むと思います。これから意識的に、仕事だけではなく、普段のあらゆる生活の場面でも是非活用していきたいと思います。(30代・不動産シンクタンク)
1978年日本リクルートセンター(87年リクルートに改称)に入社。『とらばーゆ』『フロムエー』『エイビーロード』『じゃらん』など14のメディアを創刊、“創刊男”の異名をとる。新規事業開発室長として『ゼクシィ』『ダヴィンチ』『生活情報360(現「Hot Pepper」の前身)』等、の創刊に携わり、その後開発情報編集局・編集制作統括室長を経て1998年フレックス定年退社。あそぶとまなぶ事務所(04年に(株)あそぶとまなぶに改称)設立。経営コンサルタントを主に講演、執筆などを行う。
<主な著書>
リクルート「創刊男」の大ヒット発想術(日本経済新聞社)
MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術(日本経済新聞社)
第四回5月23日
テーマ
世界都市間競争とこれからの成長を考える
講師内田 要不動産協会 副理事長専務理事
第四回目は、内田さんによる「人口減少下での持続的成長と都市、住宅のあり方」。
持続的成長を考えるポイントとして「少子高齢化と成長」「AI,IOTなど新技術の進展」「グローバルなパワーバランスの変化」の3点をあげられ、それぞれにおける現状と課題、今後を考える視点などについて解説が行われました。
後半はチームごとに「AI,IOT等の新技術がこれからの都市、不動産ビジネスに与えるインパクト」「人口減少・高齢化社会の正と負」「国際金融都市東京の成立可能性。官民の役割分担」「地方創生の斬新なソリューション」のテーマが割り振られ、討議を中心とした講義が行われました。
【塾生の声】
今回は講義の後に、チーム毎に議論を行い、発表する形式でした。非常に広いお題を与えられた中で、チームの皆さんの様々なバックグラウンドを元にした意見をぶつけ合い、纏めていく作業は刺激的でした。
日常は自身の業務の細かい話に追われることが多い中で、最後に講師の方からお話頂いた「空間や時間を含めた消費力が幸福力に直結する」という視点は、常に軸として持って行きたいと感じました。(20代・不動産業)
普段の仕事の中では、どうしても目先の課題の解決に注力しがちだが、今回は各テーマについて20~30年先まで見据えた課題やソリューションの検討をするということで、非常に新鮮で興味深かった。事前に各テーマについて情報を収集し自らの考えを整理するだけでも有意義であったし、更に当日の内田先生のご講義・グループディスカッションを通じて、不動産という枠に捉われない高い視座からの課題認識、今後の社会のあるべき姿の検討をすることが出来、得るものが大きい時間だった。(30代・建設業)
東京大学法学部卒業。建設省入省、国土交通省総合政策局政策課長、大臣官房審議官(不動産担当)、土地・水資源局長、土地建設産業局長を経て、2012年独立行政法人都市再生機構副理事長、2014年より、内閣官房地域活性化統合事務局長、内閣府地方創生室長として、地方創生、国家戦略特区の事務方とりまとめ。2015年11月より現職。麗澤大学客員教授。
第三回5月9日
テーマ
ストック化社会における建物の考え方
講師吉田 淳ザイマックス不動産総合研究所 取締役・主幹研究員
第三回目の講義は、「ストック型社会」がテーマ。「建物とは何か?」から始まり、建築ストックの現状や日本の建物寿命に関する考察、今後求められてくる建物などの講義があり、その後、「良質な建物ストックの形成に必要なこと、あるいはそれを阻む要因は何か」についてグループディスカッションが行われました。
三期生にとっての初めてのグループディスカッションとなりましたが、どのチームも熱心な議論が行われ、塾生達は様々な意見交換を通じて刺激を受けたようです。
【塾生の声】
講義中に「良質な建物ストックが形成される社会の実現」という課題でのグループワークがありましたが、現時点では課題が数多く存在していて前途多難な道のりだなぁ、と感じたのが本音です。一方で、塾生の方々と「こうすれば解決するんじゃないか。」と前向きな意見を交わすことで、視野の広がりを感じたことも事実です。
こういった難しい問題に対して、様々な立場で不動産に関わっている塾生同士で意見交換をすることが、からくさ不動産塾の醍醐味ではないかと感じた講義でした。(30代・不動産総合サービス)
民間企業に勤める身としては、建物を社会全体の問題として捉える機会は少なく、「良質な建物ストックが形成される社会」を実現するには何が必要か?との問いに、新たな視点を与えられ、目を開かれる思いがしました。また、塾生間の討議では、答えは一つではない難しさを感じると共に、様々な業務に身を置く塾生からの多様な意見に、刺激を受けました。(30代・金融業)
日本リクルートセンター(現・リクルート)入社。ビル事業部西日本部長などを経て、リクルートビルマネジメント(現・ザイマックス)取締役。2001年ザイマックスビルディングサイエンス(現・ザイマックス総研)を設立し、現職。建物管理、修繕、環境不動産分野の研究を主幹している。CASBEE不動産評価検討小委員会委員、スマートウエルネスオフィス研究委員会・評価ツール開発WG委員、不動産証券化協会・資格教育小委員会分科会委員などを務める。
第二回4月25日
テーマ
不動産市場の未来
講師清水 千弘日本大学スポーツ科学部、MIT不動産研究センター
第二回目は、当塾のアドバイザーでもある清水先生による「不動産市場の未来」と題した講義でした。ビッグデータから予見できる日本の未来。人口減少、高齢化、そしてそれに伴う土地の暴落といった課題に対し、どのようにして立ち向かうのか-不動産業界を牽引するリーダーを志す塾生に向けて、未来を展望する内容でした。
【塾生の声】
不動産とは?投資とは?普段から不動産業務に携わりながら、事前課題のこれらのシンプルクエスチョンに回答することは本当に難しかった。ビッグデータが語る未来の不動産市場は、人口減少・高齢化が一層進み、決して明るいものではなかったが、大事なことは、今の時代を生き、かつ人々の生活と密接に関わる不動産を実務として扱う我々が、今後急速に訪れる世の中の変化に対し、自ら考え、課題解決に向けて行動を起こしていくことだと感じた。(30代・生命保険)
本講義は、不動産市場の未来を考えることをテーマとしていた。その中では、ビックデータが衝撃的な不動産市場の将来を示していた。
しかし、清水先生が述べたかった主眼は、そのようなデータから予測できる未来のことではない。過去を振り返れば、不動産を取り巻く前提が随分変わってきた。例えば、高度経済成長期までは地価が高騰すること、人口が増加することが前提であった。これに対して、今は、当時前提としていなかった人口減少社会や技術の発展がそこにある。おそらく今後も予測できない前提条件が出てくるはずである。そうだとすると、もちろん現実を正確に把握し、そして、できうる限りで未来を予想することも重要ではあるが、不確実な未来に対処するのに本当に重要なのは、「不動産とは」「投資とは」といった基本的な概念や「幸せにする不動産業とは」といった理想といったものかもしれない。(30代・建設業)
日本大学スポーツ科学部教授。マサチューセッツ工科大学不動産研究センター研究員等を兼務する。東京大学博士(環境学)。シンガポール国立大学不動産研究センター、麗澤大学経済学部元・教授。専門は、指数理論・ビッグデータ解析・不動産経済学。主な著者に、『市場分析のための統計学入門』朝倉書店(2016)、『不動産市場の計量経済分析』朝倉書店(唐渡広志との共著(2007))、『不動産市場分析』住宅新報社(2014)など多数。Fellow of RICS、Member of CRE。
第一回4月11日
テーマ
開講式・不動産を見る目、価値の考え方
講師中山 善夫ザイマックス不動産総合研究所 代表取締役社長
からくさ不動産塾、第三期が開講しました。年々増える応募者の中から、今期は20名の塾生を迎えてのスタート。開講式では中山塾頭より「幕末では松下村塾がそうであったように、このからくさ不動産塾のみなさんも業界を変える人材に育ってほしい」と、またアドバイザーの清水先生からは「不動産教育の場が日本国内には少ない中で、ここで学ぶ機会を得たからにはそれを十分に活かしてください」など、期待のこもったメッセージが贈られました。
講義はプログラムの導入ということで、不動産についての基本的概念の確認のほか、
【不動産のこれからを考える上でのトピック】について確認しました。
【塾生の声】
日頃、民間企業の方々との付き合いはどちらかというと単発的なことも多く、じっくりと腹を割って意見交換するという場面はさほど多くないのが実情です。そうした意味で、これから1年間、各界を代表する皆さまとの定期的な意見交換の機会を与えていただけるこの「からくさ不動産塾」は大変貴重な場であります。清水先生のお話にもありましたが、あとはこの機会を如何に有益なものにしていけるか、これは自分自身の取り組み方にかかってくると思います。「飛耳長目」。講義の最後に中山塾頭からいただいたこの言葉の精神を大事に、これから1年頑張っていこうと決意した1日でした。(30代・公務員)
「飛耳長目」の実践の場として、からくさ不動産塾のポテンシャルに驚くとともに、期待が膨らむ初回講義であった。よくぞ選定されたと感心するぐらいに不動産に様々な関わりをもつ仲間達が揃っており、不動産目線で見聞を広め鋭敏に観察するには最高の環境である。(40代・不動産テック事業)
株式会社ザイマックス不動産総合研究所代表取締役社長。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。一般財団法人日本不動産研究所で数多くの不動産鑑定・コンサルティングに従事。その後、ドイツ証券にてドイツ銀行グループの日本における不動産審査の責任者を務める。2012年よりザイマックスグループの役員に就任、現在、ザイマックス不動産総合研究所にて不動産全般に係る調査研究を担当。不動産鑑定士、MAI、CCIM、Fellow of RICS、Member of CRE。ARESマスター「不動産投資分析」科目責任者、不動産証券化協会教育・資格制度委員会委員。