活動報告(第十期)

REPORT
  • 第一回4月8日 
  • 第二回4月22日 
  • 第三回第1部5月16日 
  • 第三回第2部5月16日 
  • 第四回5月27日 
  • 第四回6月10日 

第五回6月10日

テーマ

不動産とラグジュアリー

講師金山 明煥東急株式会社 上席執行役員

第五回目は、金山明煥先生による講義「不動産とラグジュアリー」が行われました。講義は「ラグジュアリーとは何か」という問いかけから始まり、従来のステータスや所有を重視する排他的な価値から、近年では誰もがアクセスできる「体験」へと意味合いが広がり、その体験の舞台として不動産(空間)との結びつきが深まっていることが示されました。続いて、既存建築を活用する「Adaptive Reuse(アダプティブ・リユース)」が紹介され、希少性や物語性という特徴を持つ建築は特別な体験を生み、ラグジュアリーとの親和性が高いことが解説されました。最後に、今後のあり方として、多くの人がアクセス可能な「インクルーシブ・ラグジュアリー」への転換が提示されました。この誰にでも開かれているという概念は、日本ならではのラグジュアリー像に通じるものとして示され、講義は締めくくられました。

【塾生の声】

ラグジュアリーが「排他的な所有」から「インクルーシブな体験」へ広がる潮流を、既存ストックを活かした「Adaptive Reuse」の実例とともに興味深く学ぶことができました。特に日本ならではのラグジュアリーをどう定義し、形にするかという問いが印象的で、日本では当たり前のサービスやホスピタリティも外国人にはプレミアムであり、訪日客向けのラグジュアリー体験へ昇華しマネタイズする点に、今後の事業展望を描けると感じました。 (20代・不動産業)

ラグジュアリーの進化とAdaptive Reuseの可能性は、不動産を「資産」から「文化体験の器」へ拡張する視点として非常に示唆に富むと感じました。特に希少性・時間性・物語性を価値源泉とするアプローチは、REIT・開発双方で差別化戦略となり得ると思います。Inclusive Luxuryの潮流も、都市再生と収益性の両立を考える上で重要な示唆を与える内容でした。 (30代・証券会社)

  • 不動産とラグジュアリー
金山 明煥

東急株式会社 ホテル・リゾート事業部 執行役員。早稲田大学(建築学専攻)卒業後、東急建設株式会社に入社。 その後、マサチューセッツ工科大学に留学し修士課程(都市計画およびマネジメント)修了。 帰国後、東京急行電鉄株式会社(現、東急株式会社(以下、「東急」)に転籍し、東京大学博士号(都市計画)取得。
東急では、組織再編、リテール事業、不動産事業、およびホテル事業など多岐事業に従事し、株式会社東急ビッグウィーク(タイムシェアリゾート事業)および株式会社THM(新宿2ホテルオーナー事業)の代表取締役社長を歴任して現職に至る。
また、留学中よりULI(Urban Land Institute)に所属し、日本におけるULI設立時の創設メンバー。
2026年3月、フランス・カンヌで開催の世界最大級不動産イベント「MIPIM」における日本人実業家初、「MIPIM AWARD」の審査員となる。

第四回5月27日

テーマ

不動産市場における10年の構造変化~変化をいかにビジネスチャンスにするか~

講師榎本 英二リープ経営コンサルティング株式会社 代表取締役社長

第四回目は、榎本英二先生による講義「不動産市場における10年の構造変化~変化をいかにビジネスチャンスにするか~」が行われました。講義では、将来のビジネスの仮説を立てるための9つの重要テーマについて、過去30年の変化を踏まえた解説が行われました。具体的には、新築から既存物件活用への移行、実物経済を上回る金融経済の成長スピード、人生100年時代に伴う需要の多様化などが挙げられました。これらのテーマを通し、今では想像できないようなことが将来は当たり前になると考えて仮説を立てる必要性が示されました。最後は、日頃から10年、20年先を見据えて自らの仮説を構築し、将来のビジネスとして実現してほしいというエールが送られ、講義は締めくくられました。

【塾生の声】

本講義では、不動産業界の未来の構造変化においての仮説を多面的に複数レクチャーいただき、仮説思考の重要性を学ぶと共に、視野を大きく広げていただきました。特に、「実体経済主導から、金融・お金が不動産マーケットも大きく変えていく・引っ張っていく」という仮説に関しては、業務上感じていた違和感を言語化する大きな気づきとなりました。今後の業務においても多面的に市場を捉えていきたいと感じました。 (30代・不動産デベロッパー)

本講義で「正解のない仮説を持つ」ことの大切さを学びました。そして、仮説を持つためには、不動産業界に留まらない多角的な視野・視点を持ち、時代の変化を見逃さずに捉える感性を備える必要があると感じました。どうしても業務に直接結び付くような情報に意識が向きがちですが、世界に目を向け、新しい技術を知り、身近な変化に疑問を持ち、様々な仮説に辿り着くことこそが、未来のビジネスチャンスを掴むための礎になると思い至りました。 (40代・不動産業)

  • 不動産市場における10年の構造変化
榎本 英二

1985年慶應義塾大学経済学部卒業。1985年野村不動産入社、経理・総合企画・商品開発・資産運用事業に携わる。2008年執行役員 資産運用カンパニー副カンパニー長兼運用企画部長、2009年野村不動産投資顧問副社長、2013年野村不動産常務執行役員法人営業本部副本部長、2015年野村不動産アーバンネット専務執行役員を経て2017年同代表取締役兼副社長執行役員就任、2021年 野村不動産ソリューションズ(旧 野村不動産アーバンネット) 代表取締役副社長、2024年 野村不動産ホールディングス 執行役員(DX推進統括)を経て、2025年4月より野村不動産ホールディングス株式会社 参与を務め、2026年3月に退任。
1990年大手米国年金基金との米国不動産投資を開始し、1997年からは日本の不動産投資に着手、2001年不動産私募ファンド運用のため、野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社設立。2002年には日本の運用会社による初めてのオポチュニティファンドである日本不動産オポチュニティ・ファンド(JOFI)の組成・運用を手がける。2004年以降、同社の安定型不動産私募ファンド(Smileシリーズ)の組成に携わり、2005年野村不動産投資顧問株式会社を設立、不動産証券化商品への投資に着手。2010年私募REIT第一号を運用開始。2013年野村不動産にてCREを中心とした法人営業を担当。2015年野村不動産アーバンネットにて仲介・CRE部門の企画を担当(2021年4月1日より「野村不動産ソリューションズ」に社名変更)、同社のデジタルマーケティング、DX戦略を推進。2024年野村不動産ホールディングスにて、グループ全体のDX戦略推進を担当。
宅地建物取引主任者、日本証券アナリスト協会検定会員

第三回-第2部5月16日

テーマ

技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト

講師河瀬 誠立命館大学(MBA)教授 / MK&Associates 代表

第2部では河瀬誠先生による講義「技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト」が行われました。講義では、デジタル技術が急速に進化する中、今は空想的なものも10年後には常識になっている可能性が高く、今の業務を「消滅」させる意識でDX化を進める必要性が示されました。続いて、産業・建設業での自動運転技術や3Dプリンターなどの新技術の活用、市民生活でのシェアエコノミーの拡大など、デジタル技術の進化が産業・生活の両面に変化を起こしていることが紹介されました。最後に、デジタル技術が進化する中、10年後に起こる変化を予測してバックキャストを行い、リーダーとして新しい未来を創り出してほしいというエールで締めくくられました。

【塾生の声】

AIの進化が指数関数的に進み、その変化の速さと不可逆性を強く感じる内容だった。特に、DXは単なる効率化ではなく、既存業務そのものを転換・消滅させる変革であるという指摘が印象に残った。AIによってホワイトカラー業務の多くが代替される中で、人間には意思決定や責任を担う役割がより重要になると感じた。物流不動産に携わる立場としても、不動産の価値や役割がどう変わるのかを意識しながら、自分に何ができるのか考えていきたい。 (30代・金融業)

デジタル技術が「5年で10倍」という指数関数的なスピードで進化する事実に強い衝撃を受けました。AIなどの技術革新は、我々の「作業」を奪うのではなく、人間が本来注力すべき「真の仕事」へ導くものだとお話を受け、自分自身が行うべき仕事の意義を改めて考えさせられました。また、AIに代替えされない「人間らしさ」を意識し、変化に富んだ新しい価値を創り出せるよう、日々の業務や学びに向き合っていこうと感じた。 (30代・コンサルティング業)

  • 技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト
河瀬 誠

東京大学工学部計数工学科卒業。ボストン大学経営大学院理学修士および経営学修士(MBA)修了。A.T.カーニー、ソフトバンク、ICMGを経て、現職。著書に『知的資本経営入門』(生産性出版)、『未来創造戦略ワークブック』『経営戦略ワークブック』『戦略思考コンプリートブック』『新事業開発スタートブック』『海外戦略ワークブック』(以上、日本実業出版社)『戦略思考のすすめ』(講談社現代新書)『マンガでやさしくわかる問題解決』『課題解決のレシピ』(日本能率協会)などがある。

第三回-第1部5月16日

テーマ

データ利活用型まちづくり ~建築・街区・都市のDX~

講師川除 隆広日建設計総合研究所 役員 主席研究員 麗澤大学 客員教授

第三回目は2名の講師による2部構成で、第1部では川除隆広先生による講義「データ利活用型まちづくり」が行われました。講義では、最初にデータ利活用型まちづくりを行う上での基本となるデータ分析の方法、およびその読み解き方について説明がありました。
次に、都市計画データのオープン化の動きや、3D都市モデル「PLATEAU」、Walkability Indexなどによる都市データのビジュアライズ、GPSや購買情報といった民間データと都市情報の掛け合わせによる価値の創出など、最新の動向が紹介されました。最後に、データ利活用型まちづくりの進め方に関する考え方が示され、単に得られるデータを使うのではなく、KPIに基づいてデータを活用することの重要性が指摘されました。

【塾生の声】

今回の講義を通じて、ビッグデータやモデル分析を活用することで、地価や人流といった都市現象を客観的かつ定量的に把握し、投資判断や事業判断に活かせる時代に入っていることを学びました。一方で、データ自体が共通化する中、仮説設定や分析視点、さらに事業戦略や施策への具体的な落とし込み方によって成果が大きく左右される点に、実務上の難しさとデータ活用の重要性を強く感じました。 (30代・不動産デベロッパー)

データが指数関数的に増大する今、PLATEAU等の都市データ整備は強力な武器となる一方で、その情報から得られた結果を鵜呑みにせず疑う姿勢も大切であることを再認識しました。溢れるデータから自分にとって何が重要かを取捨選択する「目利き力」、それらをどう活用していくかの「発想力」がより一層求められると感じました。普段から何がKPIとして機能するかを意識しながら、データに対する感度を高めていきたいです。 (30代・不動産業/建築業)

  • データ利活用型まちづくり
川除 隆広

1995年東京理科大学大学院修士課程修了。2001年京都大学大学院博士課程修了。博士(工学)。技術士(総合技術監理部門・建設部門)。専門は、都市計画、都市情報分析、事業評価、官民連携事業など。総務省ICT街づくり推進会議スマートシティ検討WG構成員、総務省データ利活用型スマートシティ推進事業外部評価委員、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」のうち「アーキテクチャ構築等」採択審査委員、国土交通省/データ駆動型社会に対応したまちづくりに関する勉強会委員、CASBEE都市検討小委員会委員、CASBEE街区検討小委員会幹事などを務める。著書に「ICTエリアマネジメントが都市を創る」、共著に「スマートシティはどうつくる?」、「駅まち一体開発 TOD46の魅力」、「不動産テック」などがある。

第二回4月22日

テーマ

不動産市場の未来:未来の不動産市場のリスク

講師清水 千弘一橋大学教授・麗澤大学 特任教授 学長補佐

第二回目は、当塾のアドバイザーでもある清水千弘先生による講義「不動産市場の未来:未来の不動産市場のリスク」が行われました。講義は、不動産市場の未来を考える上で重要な要素となる人口動態や都市解析などについて、最新の研究に言及しながら解説する形で進められました。具体的には、人口減少と都市集中による分布の変化、主観的評価やアメニティに基づく地域の定量化、さらに不動産取引の将来予測といった研究事例が紹介され、データ活用による将来予測の可能性が示されました。講義の最後は、都市の規模や都市での位置づけによって不動産の競争市場が異なっており、市場としての機能不全に陥っていく地域が現われつつあることが指摘され、講義が締めくくられました。

【塾生の声】

本講義を通じて、不動産価格に関する既存の考え方を疑い、まだ可視化されていない価値をいかに評価するかの重要性を学んだ。また、地方の方が都市部より物価が高くなり得る点や、タワーマンション等の過去に存在しなったものに関する物価の考え方という新たな視点は特に印象的であった。これらは不動産業界に限らず、他業界においても応用可能であり、日々の業務における価値創造やサービス向上に非常に示唆に富む内容であった。 (30代・サービス業)

清水先生の講義では、経済学やデータの視点から不動産を捉える考え方について学びました。所謂伝統資産と比較して、不動産市場はデータが乏しく分析が難しいという印象を持っていましたが、清水先生のプロジェクトではデータを構築する段階から取り組まれており、目からうろこでした。また、古典的な経済学では捉えきれない要素を取り入れたシミュレーションは非常に新鮮で興味深く、柔軟な発想の重要性を実感しました。 (20代・不動産業)

  • 不動産市場の未来:未来の不動産市場のリスク
清水 千弘

一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授、麗澤大学学長補佐 国際総合研究機構長、ブリティッシュ・コロンビア大学客員教授 。東京大学博士(環境学)。シンガポール国立大学、香港大学 客員教授、マサチューセッツ工科大学Research Affiliate、麗澤大学経済学部教授、日本大学教授、東京大学特任教授を経て現職。専門は、指数理論・ビッグデータ解析・不動産経済学。主な著者に、『Property Price Index』Springer(共著)(2020)、『日本の物価・資産価格』東京大学出版会(渡辺努氏と共編(2023))など多数。

第一回4月8日

テーマ

開講式・不動産の見方、考え方

講師中山 善夫ザイマックス総研 代表取締役社長

からくさ不動産みらい塾第十期がスタートしました。今期は様々な業種から、過去最多となる25名の参加となりました。最初に行われた開校挨拶では、中山塾頭より「からくさ不動産みらい塾」の設立理念や、未来志向でリニューアルを行った経緯が語られ、塾生たちのこれからの1年に対する期待が述べられました。続いて、中山塾頭による第1回目の講義「不動産の見方・考え方」が行われました。「不動産とは何か?」という本質的な問いから始まり、これまでの社会と不動産の変遷、そして未来を捉えるための視点や重要なトレンドについて解説されました。講義の最後は、「アンテナを高く持ち、世の中の変化を敏感に捉えて未来を考えてほしい」というエールで締めくくられました。

【塾生の声】

第一回講義では、不動産の定義や鑑定評価の考え方から、歴史、不動産金融、J-REITに至るまで幅広く学び、不動産が社会や経済の基盤を支える存在であることを改めて実感した。人口減少や技術進化、空き家問題、異業種の取組を通じて、不動産が地域の未来を形づくる重要な役割を担っていると感じた。日々の実務を越えた高い視座で学び合い、これからの不動産のあり方を考えていけることに大きな期待を抱いている 。(40代・公務員)

今後の日本の人口減少やテクノロジーの進化を踏まえた地域づくりが求められていること、また企業の景気に連動した不動産戦略等、幅広いテーマが講義で扱われ、改めて不動産領域の広さと多様さを再認識しました。多くの社会課題と密接に関わっているからこそ不動産が果たせる役割は大きいと感じた為、今後の講義を通じて各テーマの理解を深めつつ、先を見通した社会課題の発見と解決方法に関する検討をできるようにしたいです。 (20代・不動産業)

  • 開講式・不動産の見方、考え方
  • 開講式・不動産の見方、考え方
中山 善夫

株式会社ザイマックス総研代表取締役社長。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。一般財団法人日本不動産研究所で数多くの不動産鑑定・コンサルティングに従事。その後、ドイツ証券にてドイツ銀行グループの日本における不動産審査の責任者を務める。2012年よりザイマックスグループの役員に就任、現在、ザイマックス総研にて不動産全般に係る調査研究を担当。不動産鑑定士、MAI、CCIM、Fellow of RICS、Member of CRE。ARESマスター「不動産投資分析」科目責任者、不動産証券化協会教育・資格制度委員会委員。