活動報告(第九期)
- REPORT

第九回8月6日
テーマ
偶発性をデザインする ~人口5000人の徳島県神山町はなぜ進化し続けるのか~
講師大南 信也認定NPO法人グリーンバレー 前理事長
第九回目は、大南信也先生による講義「『偶発性をデザインする 』~人口5000人の徳島県神山町はなぜ進化し続けるのか~」が行われました。講義では、戦前に米国から日本の小学校へ贈られた「青い目の人形」を1991年に里帰りさせた国際交流活動をきっかけに、特定の職種を「逆指名」して移住者を呼び込むワーク・イン・レジデンスなど数多くのプロジェクトを段階的に展開しながら神山町が発展を遂げてきた経緯が紹介されました。「創造的過疎」の考えの元、失敗を恐れず挑戦を続ける姿勢や地域と外部人材との関係性を育み、2023年に開校した「神山まるごと高専」は全国的にも関心を集めています。大南さんの「できない理由よりできる方法を考える」「まずはやってみる」という言葉は、多くの塾生にとって実践への力強い後押しとなったことでしょう。 昨年は、大南先生のご案内により神山町を訪れる現地ツアーが開催され、参加した1期から8期の塾生にとって、現地の空気を感じながら学びを深める貴重な機会となりました。今回の講義を受け、9期の塾生からも早速、現地視察を計画する声が上がっていました。
【塾生の声】
講義を通じて、「すき」な場所を「すてき」な場所に変えるためには「手(て)」を加える必要があるという言葉が特に印象に残った。神山町がアーティストの力を借りて世界のコミュニティに認知されるまでの過程は、偶発性と人とのつながりの力を感じた。 また、ストーリーから入ると行動が目的に収束してしまうという指摘も印象的で、志の高いメンバーが集まり、できることから行動を重ねることの重要性を深く知ることができた。 (20代・デベロッパー)
今までで一番印象的な講義でした。神山町の実績も素晴らしいのですが、こういった結果となったのは大南さんの情熱があったからこそだと感じました。大南さんとお話すると、やったらえんちゃう!の精神がひしひしと伝わってきて物凄く魅力があり、こういったマインドが町全体で醸成されたからこそ、共感する方々が集まってきたのだろうと感じました。 (30代・不動産業)

1953年徳島県神山町生まれ。米国スタンフォード大学院修了。帰郷後、仲間とともに「住民主導のまちづくり」を実践する中、1996年ころより「国際芸術家村づくり」に着手。全国初となる道路清掃活動「アドプト・プログラム」の実施や、「神山アーティスト・イン・レジデンス」などのアートプロジェクトを相次いで始動。町営施設の指定管理や、町移住交流支援センターの受託運営、ITベンチャー企業のサテライトオフィス誘致など複合的、複層的な地域づくりを推進。2023年4月に開校した「神山まるごと高専」設立に発起人/設立準備財団代表理事として参画。
第八回7月23日
テーマ
ウォーカブルな都市の要素とは?
講師樋野 公宏東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 准教授
第八回目は、樋野公宏先生による講義「ウォーカブルな都市の要素とは?」が行われました。講義では最初に、運動不足の予防のため、都市環境改善によるゼロ次予防が重要であることや、都市計画と公衆衛生の歴史的変遷が概説されました。次に、都市の歩きやすさを構成する主要な概念である”4D(Density, Design, Diversity, Destination) & 2P(Promotion, Placemaking)”の各要素について、優れた歩行環境を整備した事例の紹介、横浜市における歩行推進事業の研究成果、運動の動機付けを行うきっかけとなる事例などをもとに説明が行われました。最後に、日本の都市は歩行環境において世界で見ても優れているという事例が紹介され、そうした環境を今後も維持していくために、4D & 2Pの要素を踏まえたまちづくりの方向性が提言され、講義は締めくくられました。
【塾生の声】
街としての“賑わい・魅力”のような観点での講義を想像していたが、“健康”に着目した切り口だったことに新鮮さを感じた。交通や施設の充実した都市部は、比較的ウォーカビリティを維持しやすいが、ベッドタウンのような郊外部においては人口の高齢化が進むにつれて課題が大きくなってくることを学んだ。抜本的な街づくりのやり直しは現実的でないとすると、講義の中でも触れられたpromotionのようなソフト施策が、より重要になってくるのだろう。(30代・不動産業)
人々の健康が個人の生活習慣だけでなく、まちづくりといった環境要因にも左右されるという視点が印象的でした。都市の密度や土地利用だけでなく、「回遊性」や「プレイスメイキング」など、人が自然に街に関わりたくなる仕掛けの重要性にも共感しました。ショッピングモールなどの事例が、人口密度の低い地域でもウォーカブルな空間を実現できるヒントになる点も興味深かったです。今後は、地方や観光地でどうすればウォーカブルな街を作れるか、という視点を自分の関わるプロジェクトにも活かしていきたいと感じました。 (20代・ホテル事業)

2003年東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程修了。博士(工学)。
独立行政法人建築研究所(当時)を経て、2014年から現職。
都市環境の健康影響を研究し、2022年に「身体活動を促すまちづくりデザインガイド」を公表。
第七回-第1部7月9日
テーマ
スポーツ×不動産
講師太田 和彦
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 ライフサイエンス ヘルスケアスポーツビジネスグループ ヴァイスプレジデント
第七回目は、からくさ不動産みらい塾の卒塾生2名による2部構成で、第1部では太田和彦先生による講義「スポーツ×不動産」が行われました。最初に、企業によるスポーツビジネスへの投資の活発化や、スポーツとそれ以外を組み合わせることで新たな事業機会を生み出す考え方についての説明がされました。続いて、「スポーツ×不動産」のビジネスとして、スポーツに不動産を掛け合わせることによるスポーツチームとしての収益拡大の事例や、日本のスポーツビジネスにはさらなる発展のポテンシャルがあることが示されました。最後は、スポーツエンターテインメントが進化する中で不動産が中心的な役割を担うことを楽しみにしているというエールで講義が締めくくられました。
【塾生の声】
スポーツは新規顧客の獲得とともに地域住民との関係性が重要視されるため、各地でベニュー建設が行われることは納得感がありますが、実際に成功事例を見てスポーツと不動産の密接な関係性を感じることができました。一方で戦況によってはベニュー強化への投資よりもチーム強化に投資すべきではという既存顧客からの声もあるため、「満員のスタジアム」をどう作り上げていくかはバランスが難しいとも感じました。(30代・不動産業)
今回の講義では、不動産業とスポーツのバックグラウンドを持つ講師により、その結節点とでもいうべき、昨今のスポーツビジネスの進化とそれとシナジーを持つベニュービジネスについてご講義頂きました。スタジアムは、長い歴史を持つ不動産ですが、スポーツビジネスの進化により、これまでとは違った形で価値を生み出していることを知り、不動産の更なる可能性に気づくことができました。特に、「満員であることの価値」という視点が新鮮であり、個々のアセットが生み出す価値の本質を突き詰めて考えることの重要さを学びました。(40代・法律事務所)

住友不動産で再開発・住宅営業・人事・海外事業 (台北・上海) 等に従事した後、英・戦略コンサルティングファームL.E.K.コンサルティングを経て現職。サッカー・バスケットボール・ラグビー等を中心としたスポーツビジネスおよびライフサイエンス・ヘルスケアのM&Aアドバイザリー、経営計画策定支援、市場調査支援等を中心に従事。コーネル大学経営学修士。からくさ不動産みらい塾2期生。
第七回-第2部7月9日
テーマ
建設業界の未来
講師原 哲朗
株式会社竹中工務店 開発営業部門 グループ長
第2部では、原哲朗先生による講義「建設業界の未来」が行われました。講義では、最初に建設業がGDPの大きな割合を占める主要産業であることや、業界における喫緊の課題である人手不足やコスト管理の背景要因について説明がありました。続いて、人手不足への対策として給与制度の見直しやロボットの活用による生産性向上の事例が紹介されました。また、建設コスト上昇の中でも事業の採算を確保するため、サステナビリティといった付加価値やエリアマネジメントによる建築物や地域の価値向上の取り組みも紹介されました。最後は、今後のゼネコンは単に建物を建てるだけでなく、建築物の新たな価値を創造する役割が重要になるという考えが、事例とともに示され、講義が締めくくられました。
【塾生の声】
からくさ不動産みらい塾OBで今まさに現場で活躍されている生の声を聞けた臨場感のある講義でした。社会のステージが変わっていくなかで、建設業界が抱えている人手不足等による建築費高騰という課題は非常に本質的で難易度が高いように思いました。一方で、そういった課題に対し、様々な新しい取り組み(建てることではなく、エリアマネジメント、リノベーションによる価値創造等)をされていることを知れたのは大変勉強になりました。(40代・デベロッパー)
日常業務において大きな壁となる「建築費高騰」について様々な角度から実態を学ぶことができた。特に人手不足問題については少子高齢化が止まらない日本において最善の解決策がなにかは、未来を見据えて考え続けていきたい。働き方改革の緩和や職種に対するイメージ改革、DX化、外国人受入れなど策は多岐に渡るだろうが根本となる「建築業界の仕組み」自体を変えていく必要があるのではと感じた。また、一方で建築費が高騰したとしても必要な収益が得られれば問題がないのでは、とも感じたため都心でも地方でも成立する効率の良い収益モデルについても考えていきたい。(30代・小売業)

2000年 株式会社竹中工務店 入社
開発営業部門に所属し、公有地や開発案件を担当。2010年に大手不動産会社へ出向等を経て、2015年に現在の開発営業部門に所属。からくさ不動産みらい塾1期生
第六回6月25日
テーマ
先を読むためのアナロジー思考~VUCA時代の不連続な発想法~
講師細谷 功ビジネスコンサルタント・著述家
第六回目は、細谷功先生による講義「先を読むためのアナロジー思考~VUCA時代の不連続な発想法~」が行われました。講義では、変化が激しくAIの進化も著しい中、経験から考えるだけでなく、一見関係が薄そうな事象の中から抽象的な共通点を見出し、課題解決に活かす”アナロジー思考”の重要性について説明がありました。加えて、「自分の仕事が何に似ているかを考え、どのような点で似ているのかを説明する」や「時間の小分け化というキーワードで進化したサービスが何かを考える」など、異なる事象の共通点を考えるワークを通し、アナロジー思考の実践が行われました。ワークを通して、塾生からは普段の業務ではいかに近い世界の中だけで物事を考えているか実感したなどの声が上がりました。
【塾生の声】
手元ばかり見ていると見えないことも、抽象化することで俯瞰でき、新たな発見ができるため、未来を読み解くためにとても重要な能力だと思った。すぐに身につくものではないが、意識で変えることのできる思考なので、今後実践していきたいと思った。また講義中、「アナロジー思考」についてAIに問う場面があったが、AIは当方の考え方をすでに習得しており、脅威を感じるとともに、未来を生きる上でAIを使いこなす必要性についても改めて感じた。(30代・金融業)
「一般的な模範解答のようなもの」はすぐにAIが作ってくれる時代において、特に「より本質的かつ具体的な問題発見」と「創造的・越境的な思考」をするための思考法を具体例も交えながら学べました。また、越境的な思考をするためには、レコメンドされた情報で埋め尽くされる中、敢えてアンテナを立てて遠い世界に興味を持つことが重要だと感じました。 (20代・リネンサプライ業)

神奈川県生まれ。株式会社東芝を経て、アーンスト&ヤング、キャップジェミニ、クニエ等の外資系/日系のグローバル・コンサルティングファームにて業務改革等のコンサルティングに従事した後独立。近年は問題解決や思考力に関する講演やセミナーを企業や各種団体、大学等に対して国内外で実施。著書に『アナロジー思考』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『具体⇔抽象トレーニング』(PHPビジネス新書)などがある。
第五回6月11日
テーマ
不動産市場における10年の構造変化~変化をいかにビジネスチャンスにするか~
講師榎本 英二野村不動産ホールディングス株式会社 参与
第五回目は、榎本先生による講義「不動産市場における10年の構造変化 ~変化をいかにビジネスチャンスにするか~」が行われました。講義では、最初にビジネスを考える上で将来の構造変化を見据えて「仮説」を持つことが重要であるとの話から始まりました。次に、「時代の終わりの始まり、不都合な真実が現実に?」をテーマに、「新築からセカンダリー(既存)」「世界の運用資産“2京円”の世界に向けて」「人生100年時代」「グリーン投資、新エネルギー、そしてAI/データセンターの世界へ」など9つ項目について解説を行った後、ご自身の仮説を述べられました。最後に、塾生一人ひとりが考える仮説に対して、榎本さんがコメントを添えて講義が終わりました。
【塾生の声】
今回の講義で「不動産は、流動性がある限りはマーケットの中で上がり下がりがあってもどうにかなる」というお話がありました。日頃の業務においてはどうしても近視眼的な出口戦略に陥りがちなこともありますが、不動産投資・開発は長いタームで行われる事業であり、マクロ経済、技術革新、世界情勢、人々のマインドの変化等様々な要因を踏まえて自分なりに仮説を立てたうえで考えていく必要があると強く感じました。(30代・デベロッパー)
今回講義を要約すると「10年後の未来に自身の仮説をもって事業に取り組む」になるが、多角的な視野・知見を持ち、時には大胆かつ無謀とも思われるポジティブな仮説をもつことで初めてビジネス機会が見い出せると感じた。企業に所属する中で仮説に基づく事業立案をすることは容易ではないが、企業・個人として変革が求められる今の時代だからこそ、このマインドを忘れずにチャレンジングなビジョンを持ち続けるべきと感じた講義であった。講義終盤の塾生が考える未来の仮説発表も様々な視点があり、興味深い内容であった。(30代・不動産業)

1985年慶應義塾大学経済学部卒業。1985年野村不動産入社、経理・総合企画・商品開発・資産運用事業に携わる。2008年執行役員 資産運用カンパニー副カンパニー長兼運用企画部長、2009年野村不動産投資顧問副社長、2013年野村不動産常務執行役員法人営業本部副本部長、2015年野村不動産アーバンネット専務執行役員を経て2017年同代表取締役兼副社長執行役員就任、2021年 野村不動産ソリューションズ(旧 野村不動産アーバンネット) 代表取締役副社長、2024年 野村不動産ホールディングス 執行役員(DX推進統括)を経て、2025年4月より現職の野村不動産ホールディングス株式会社 参与。
1990年大手米国年金基金との米国不動産投資を開始し、1997年からは日本の不動産投資に着手、2001年不動産私募ファンド運用のため、野村不動産インベストメント・マネジメント株式会社設立。2002年には日本の運用会社による初めてのオポチュニティファンドである日本不動産オポチュニティ・ファンド(JOFI)の組成・運用を手がける。2004年以降、同社の安定型不動産私募ファンド(Smileシリーズ)の組成に携わり、2005年野村不動産投資顧問株式会社を設立、不動産証券化商品への投資に着手。2010年私募REIT第一号を運用開始。2013年野村不動産にてCREを中心とした法人営業を担当。2015年野村不動産アーバンネットにて仲介・CRE部門の企画を担当。(2021年4月1日より「野村不動産ソリューションズ」に社名変更)、同社のデジタルマーケティング、DX戦略を推進。2024年野村不動産ホールディングスにて、グループ全体のDX戦略推進を担当。
宅地建物取引主任者、日本証券アナリスト協会検定会員
第四回5月28日
テーマ
ラグジュアリービジネスのいま
講師金山 明煥
東急株式会社 執行役員
講師セオドア・言・ニフィング
Plus Curiosity 創業者・代表取締役
第四回目は、金山明煥先生、セオドア・言・ニフィング先生による講義「ラグジュアリービジネスのいま」が行われました。講義では、まずラグジュアリーのキーワードとして、論理ではなく感情に訴える付加価値や、いまここでしかできない体験といった視点が示されました。次に、現在ラグジュアリーの領域は「モノ」「体験」「ライフスタイル」の3つに分けられ、ラグジュアリーブランドの戦略は、より後者の領域へとシフトしていることが説明されました。併せて、顧客層の若年化・多様化や、フィジカルな空間で体験を提供する上での不動産の重要性についても触れられました。講義の最後は、都市開発にラグジュアリーをどのように取り入れるかについて、実際の開発事例を交えた説明で締めくくられました。
【塾生の声】
「マスへの迎合は価格競争を引き起こし、経営効率を下げることにも繋がる」という言葉が印象的でした。ビジネスとして取組む以上は規模の議論が不可欠で、マスを優先する思考に偏りがちです。しかしながら「ラグジュアリー」に求められる希少性は、マスの対極にあるとも言えます。ビジネスにおいて、希少性と普遍性のバランスを取っていく為に、どのように取り組んでいく事ができるのか。難しい話ですが、だからこそ、うまくはまれば得られる果実も大きいのだと思いました。(40代・ホテル事業)
ラグジュアリーとは何だろうか。これ迄は、サラリーマンマインドからIRR等の投資指標にとらわれ、アートや文化等効果が見えにくい価値について思い切って考えたことはなかった。講義の中で「日本は1泊5万円のホテル“は”クオリティが高い」という話があったが、インバウンド消費、特にアッパー層のニーズを掴むためには、これまでのマインドを改める必要があると強く感じた。一方で、日本の資源を活かすことで彼らにとっての真のラグジュアリー「一生に一度きりの特別な体験」を提供する余地は十分にあるとも感じたので、数字で測れない世界観にも向き合っていきたい。(30代・金融業)

東急株式会社 ホテル・リゾート事業部 執行役員。早稲田大学(建築学専攻)卒業後、東急建設株式会社に入社。その後、マサチューセッツ工科大学に留学し修士課程(都市計画およびマネジメント)修了。帰国後、東京急行電鉄株式会社(現、東急株式会社(以下、「東急」)に転籍し、東京大学博士号(都市計画)取得。東急では、組織再編、リテール事業、不動産事業、およびホテル事業など多岐事業に従事し、株式会社東急ビッグウィーク(タイムシェアリゾート事業)および株式会社THM(新宿2ホテルオーナー事業)の代表取締役社長を歴任して現職に至る。また、留学中よりULI(Urban Land Institute)に所属し、日本におけるULI設立時の創設メンバー。

2018年に東京でプラス・キュリオシティを立ち上げる以前は、香港を拠点にCushman & WakefieldのAPAC地域リテール部門責任者を務めた後、アジア・中東のショッピングセンター・デベロッパーへのアドバイスやプレイスメーキングに特化したコンサルタント会社であるHusband Retail ConsultingのCOOを歴任した。また、上海に5年間駐在し、Appleの地域リテール拡大担当を経て、Cushman & Wakefieldの中国リテールリース事業の責任者として貢献した。セオは東京出身の日米ハーフである。
第三回-第1部5月14日
テーマ
働き方×ワークプレイス
ザイマックス総研のリサーチから
講師石崎 真弓
ザイマックス総研 主任研究員
第三回目は、2名の講師による2部構成で、第1部では石崎真弓さんによる講義「働き方×ワークプレイス ザイマックス総研のリサーチから」が行われました。講義は、最初に塾生に向けて今どのような働き方をしているか、その働き方に満足しているかの問いかけから始まりました。その後、ザイマックス総研が公開した働き方に関するレポートをもとに、コロナ禍前後のワークプレイスや働き方の変化の説明や、現在のオフィスの課題と見られる点や今後のワークプレイス戦略についての考察が示されました。最後は、最近の工夫されたワークプレイスの事例や、グローバルな視点での東京の競争力についての説明が行われ、講義が締めくくられました。
【塾生の声】
時間軸を長く取ると、いつからか誕生した間接部門が拡大、人を集めるために出現したオフィスについては、近年まで「人数」が最大のボトルネックであった。そこから、ITの進展により、この「人数」の制約が緩和されたことで、自由度が高まり、オフィスがあたかもソフトのようになってきたことは興味深い。講義を受けて、塾生自らもオフィスのスタディツアーを企画、論理と実践を通じて深い理解につなげることを予定している。この「実践」も可能な本塾の良さを存分に享受し、さまざまなテーマにおいて、一歩でも二歩でも手触り感のある学びを積み上げていきたい。 (40代・金融業)
「講義を通して、オフィスとして従来のようにただ床を貸し出すだけでなく、生産性向上やコミュニケーションの活性化、従業員のモチベーション向上等に寄与するオフィスの重要性が益々高まってきていることを痛感しました。コロナ禍を経てリモートワークをはじめとした多様な働き方が広がる中、より付加価値の高い、ワーカーに選ばれる場所を提供することで、社会全体での生産性向上に寄与できればと、不動産業界にいる一員として思いました。 (30代・不動産投資業)

リクルート入社後、リクルートビルマネジメント(RBM)にてオフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPM などに従事。2000年RBMがザイマックスとして独立後、現在のザイマックス総研に至るまで一貫してオフィスマーケットの調査分析、研究に従事。近年は、働き方と働く場のテーマに関する調査研究、情報発信している。日本ファシリティマネジメント協会、オフィス学会、テレワーク協会、テレワーク学会また日本サステナブル建築協会知的生産性研究コンソーシアムに研究参加。
第三回-第2部5月14日
テーマ
技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト
講師河瀬 誠
立命館大学(MBA)教授 / MK&Associates 代表
第2部では、河瀬誠先生による講義「技術・社会の未来予測と建築不動産産業へのインパクト」が行われました。講義では、デジタル技術の急速な進化により、多くの「新常態」が常識へと転換しつつあり、20年後には現在では考えられないことが当たり前になる可能性が示唆されました。続いて、デジタル技術の進化とともに建設業のロボット化や人口動態、世代間の価値観の変化、シェアエコノミーといった産業・生活両面での変化が起こっていることが紹介されました。最後は、都市の主役を車から人へという視点に基づいた、従来の常識とは異なる新たなまちづくりの事例が提示され、「未来の妄想から出発して、今後の都市を考えてほしい」という言葉で締めくくられました。
【塾生の声】
今回の講義を通じて、デジタル技術の進化が社会・都市・生活に与える影響を改めて実感した。特に、ムーアの法則に基づく加速度的な技術の進歩が今後業界の破壊をもたらすという内容は大きな衝撃であった。環境の変化に対応した組織作りと、本質的な価値を磨き続ける努力の重要性を学ぶ良い機会となり、視座を高く持つことの必要性を再認識した。 (20代・総合デベロッパー)
デジタル/テクノロジーがいかに我々の社会や生活を変えているかについて学び、その指数関数的な変化のスピードを踏まえると、今の常識を前提に未来を考えることは適切ではないという点を痛感しました。また、社会のニーズや価値観の多様化を踏まえ、ビジネスが提供するプロダクトは、今後いかにニッチな点を攻めていけるかが重要、という点も講義の中で印象的なポイントでした。大きい組織、会社であればあるほどマスにアプローチする必要がある一方で、金太郎飴的な再開発ビルが集客等に苦戦しているような事例を見ると、不動産業界にとっても当てはまる重要なポイントではないかと感じました。 (30代・不動産ファンド)

東京大学工学部計数工学科卒業。ボストン大学経営大学院理学修士および経営学修士(MBA)修了。A.T.カーニー、ソフトバンク、ICMGを経て、現職。著書に『知的資本経営入門』(生産性出版)、『未来創造戦略ワークブック』『経営戦略ワークブック』『戦略思考コンプリートブック』『新事業開発スタートブック』『海外戦略ワークブック』(以上、日本実業出版社)『戦略思考のすすめ』(講談社現代新書)『マンガでやさしくわかる問題解決』『課題解決のレシピ』(日本能率協会)などがある。
第二回4月16日
テーマ
不動産市場の未来:未来の不動産市場のリスク
講師清水 千弘一橋大学教授・麗澤大学副機構長学長補佐
第二回目は、当塾のアドバイザーでもある清水千弘先生による講義「不動産市場の未来:未来の不動産市場のリスク」が行われました。講義は、2017年に予測された、未来のアメリカの不動産市場のレポートに基づき、当時の予測が実際に正しかったのか、また日本ではどうであったのかを軸に、予測された要素に関連する研究を紹介する形で進められました。研究事例としては、人口減少と都市への集中による日本の人口分布の変化、人口減少・高齢化・国際化が不動産価格に与える影響、不動産バブル崩壊のプロセスなどの研究が取り上げられました。講義の最後は、「30年後のリスクを予想し、それをコントロールして未来を作る議論をしてほしい」という言葉で締めくくられました。
【塾生の声】
清水先生の講義を通して様々な観点から不動産の未来を予測可能であることを学んだが、近年、建築物の老朽化対策、空き家問題等のリスクに着目しがちであり、人の感情や、技術革新の動向に着目した政策がなかなか進んでいないように思う。今後、限られたリソースで未来について考えていくには、リスクを全て解消しながら進んでいくのか、割り切って進むのか、岐路に立たされているため、未来のビジョンを強く掲げ続けることに必要な判断力を磨くにあたり、自分自身学び続けていきたいと感じた。(20代・公務員)
不動産業界の構造的課題や、人口動態・地域衰退といった大きな社会的テーマと不動産の関係性について深く考える機会をいただきました。普段の実務では得られない理論的な視点や、先進的なデータ活用の事例にも触れることができ、非常に刺激的な時間となりました。(30代・総合デベロッパー)

一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授、麗澤大学学長補佐 国際総合研究機構長、清華大学不動産金融センター顧問。東京大学博士(環境学)。プリティッシュ・コロンビア大学、シンガポール国立大学、香港大学 客員教授、マサチューセッツ工科大学Research Affiliate、麗澤大学経済学部教授、日本大学教授、東京大学特任教授を経て現職。専門は、指数理論・ビッグデータ解析・不動産経済学。主な著者に、『Property Price Index』Springer(共著)(2020)、『日本の物価・資産価格』東京大学出版会(渡辺努氏と共編(2023))など多数。Member of CRE。
第一回4月9日
テーマ
開講式・不動産の見方、考え方
講師中山 善夫ザイマックス総研 代表取締役社長
からくさ不動産みらい塾第九期がスタートしました。今期は様々な業種から20名の塾生の参加となりました。最初に開講式が行われ、中山塾頭から、からくさ不動産みらい塾の設立からリニューアルまでの背景・経緯や、これまでの塾生達の様子などを伝え、塾生達への期待を述べる挨拶が行われました。その後、中山塾頭による第一回目の講義「不動産の見方・考え方」が行われました。講義では、最初に不動産とは何か?という話がされ、続いて時代に応じて不動産の使われ方が変化する中、世の中と不動産のこれからを考える上で重要な視点についての説明が行われました。講義の最後は「飛耳長目」を大事に、1年間を頑張ってほしいという塾生たちへのエールが送られ、第1回目講義が終了しました。
【塾生の声】
第一回の講義では、不動産はお金儲けの手段ではなく、大切な資源であり、国そのものであることなど、不動産の本質的な価値について、多くの気づきを得ました。 普段の業務ではどうしても収益性に注目しがちですが、もっと高い視座で不動産を見て、どう「みらい」を作っていくべきなのか、塾の仲間たちとこの1年間議論できることにワクワクしています。(30代・不動産業)
創設の背景、中山塾頭の熱い思いを伺う中で、不動産に何らかの形で携わっているこの志高いメンバーと1年間、様々なことを学び不動産業界に何らかのインパクトを与えられるように奮闘したいという思いが強まった。1回目の講義を受講して、不動産が関係しない業界はないので、不動産以外の分野の知見を深めることで一層不動産への理解が深まるのではないかと感じた。(20代・総合不動産サービス業)

株式会社ザイマックス総研代表取締役社長。ニューヨーク大学大学院不動産修士課程修了。一般財団法人日本不動産研究所で数多くの不動産鑑定・コンサルティングに従事。その後、ドイツ証券にてドイツ銀行グループの日本における不動産審査の責任者を務める。2012年よりザイマックスグループの役員に就任、現在、ザイマックス総研にて不動産全般に係る調査研究を担当。不動産鑑定士、MAI、CCIM、Fellow of RICS、Member of CRE。ARESマスター「不動産投資分析」科目責任者、不動産証券化協会教育・資格制度委員会委員。